2012年、英・ロンドンで開催されるロンドンオリンピックにおいて、国際オリンピック委員会(IOC)のオフィシャルフォトエージェンシーを務めるゲッティ イメージズ。その日本法人であるゲッティ イメージズ ジャパンは、イギリスから担当者を招き、大会期間中の同社の取材体制などをスポーツスポンサーやメディア向けに紹介する説明会を開催した。
クリエイター向けの素材写真やメディア向けの報道写真を中心に、動画、音楽など多彩なデジタルコンテンツを提供する同社だが、中でもスポーツ報道写真のクオリティには定評がある。FIFAワールドカップ、世界陸上をはじめとしたスポーツイベントや、NBA、MLB、UEFAといった主要なスポーツを網羅する同社は、世界中が注目するオリンピックに対して、どのような取材体制で臨むのだろうか。
"オフィシャル"であることを最大限に活かす
1988年、同社はIOCとオフィシャルフォトエージェンシー契約を締結しており、以来、オリンピックにおける広範囲な写真撮影を一手に引き受けている。今回も大会期間中にすべての競技、メダル授与式、開・閉会式などをカバーするのはもちろんのこと、大会前の準備段階から取材を開始しており、活躍が期待される注目の選手や大会開催地であるロンドンの景観、建設中の競技場などの写真を同社が運営するWebサイトなどを通じて、いち早く世界中に配信し始めている。
また、同社は"オフィシャル"であることを最大限に活かし、一般のメディアでは許可されない場所にリモートカメラ約50台を設置するという。例えば、競技が行われるコートの真上やプールの中など、斬新なアングルから感動の瞬間を狙う。このほか、競技場の裏側や選手のウォーミングアップ・エリア、選手村などでも特別に撮影が許可されているため、競技中とは違った選手の表情をフレームに収めることもできるというのだ。
専門家集団によるチームワーク
同社はスポーツを知り尽くした専門のフォトグラファーを多数抱えており、今大会では、競技場内にエディトリアルフォトグラファーやコマーシャル用フォトグラファー、エディターや技術スタッフなど100名近くを配置するとしている。また、競技場外にもニュースやエンターテインメント専門のカメラマンなど数十名規模の取材チームを配置。大会を訪れる各国のスターや著名人、政治家などにも備える。
今大会期間中は、このような体制で100万枚におよぶ写真が撮影され、その中から選ばれた約5万枚が配信される予定だという。さらに、撮影された写真は最新のネットワークを通じ、数分で世界に配信することも可能。実際に2008年に開催された北京オリンピックでは、撮影から最短180秒後の配信を記録したというから驚きだ。このほか同社では、競技の撮影において最新技術を用いた3D撮影や360度のパノラマ撮影も新たに導入するとしている。
選手の汗や涙を閉じこめたような活き活きした写真の数々は、このような最新技術や大勢のスタッフによるチームワークから生まれている。偶然撮影されたかに見える"奇跡"の写真の裏側には、クリエイティビティに対する同社の惜しみない努力と工夫があったのだ。