現在、米Yahoo!は一部事業または会社全体の売却先を探していることが知られているが、これに最も関心を寄せているのが米Microsoftだという。米Wall Street Journalの10月6日(現地時間)の報道によれば、Microsoftは6日同日のYahoo!株の終値を25%上回る1株あたり20ドルでの買収提案を行っており、Microsoftによる買収観測が出た6日の15時前後(米東海岸時間: EDT)には株価が10%近く急騰する状態となった。

もともとMicrosoftは同社のインターネット事業テコ入れのためにYahoo!買収を模索しており、以前に行われた同社に対する敵対的買収では大きな抵抗に遭い、最終的に事業提携で矛を収める形で落ち着いている。だが、この提携をまとめたYahoo!元CEOのCarol Bartz氏は経営不振の責任から同職を解任され、その後Yahoo!が事業売却または同社そのものの売却を目指していることが8月ごろから伝えられるようになってきた。

WSJが伝えるところによれば、Jefferies & Co.のアナリストYoussef Squali氏の試算で、米Yahoo!が持つYahoo! Japanの35%の株式と、中国Alibaba.comの株式を合計すると、税引き後の時価総額でも60億ドル規模に達するという。そして現在、米Yahoo!は未上場のAlibaba Groupの株式を40%持っており、先日Silver Lakeら投資グループによって行われた増資でAlibabaの価値が320億ドルに達したことを考慮すれば、この潜在的な資産額だけでもおよそ140億ドル、税引き後でも90億ドル規模に達するという。6日終了時点でのYahoo!の時価総額は210億ドルだが、以上を考慮すればMicrosoftによる買収価格は時価総額よりも低い、85億ドル程度で済む可能性があるという。しかもYahoo!の純利益は毎年10億ドル程度であり、投資対効果は悪くないというのが金融関係者らの分析だという。