「Parallels Mobile」を起動すると、同じアカウントでログインしているMacとその上のゲストOSが一覧表示される

Parallels Desktop 7のリリースに伴い、iOSのサポートも強化された。iOSアプリ「Parallels Mobile」は有償化(1,150円、9月現在特別価格450円のキャンペーン中)されたが、単なるゲストOSの遠隔操作/閲覧ツールにとどまらない使い方が可能となっている。従来のユーザは無償でアップデートできるため、あわせて入手しておきたい。

要注目は、サウンド機能のサポートだ。ゲストOS(Windows)上で再生したオーディオを、Parallels Mobileを通じて聴くことが可能になったのだ。

Parallels Desktop 7ではサウンド機能をサポートし、iOSデバイスからゲストOS(Windows)のサウンドを聴けるようになった

試しにWindows XPでiTunesを起動し、ホームシェアリングで共有しているオーディオファイルを再生したところ、とりあえず聴くことはできた。ただ、Parallelsのサーバ経由ではなく無線LAN(直接接続)で接続したが、オリジナルに比べダイナミックレンジが狭いのは明らかで、Image Qualityをデフォルトの「Recommended」から「Higher Speed」に変更しても、頻繁にクリックノイズが発生した。画像同様、圧縮を施したうえで転送していると考えられるが、iPhone 4に搭載のA5チップには負荷が高いのか、音楽を鑑賞するというレベルは期待できない。ただし、テレビ番組などさほど音質が重視されない用途には使えそうだ。

ホストOS(OS X)そのものの遠隔操作もサポートされた。VNCベースのリモートデスクトップ実装に比べ描画は高速

Macそのものの遠隔操作が可能になったことも見逃せない。あらかじめParallels Desktop 7を起動しておく必要はないため、Parallels Mobileを起動してホスト機のMacを指定すれば、あらかじめ登録しておいたユーザアカウントの権限でOS Xのデスクトップを遠隔操作できる。VNCなど既存の遠隔操作ソリューションに比べると、描画速度は格段に優れているため、手元のiPad/iPhoneから離れた場所のMacを遠隔操作するときも、それほどストレスを感じないことだろう。

また、遠隔操作の対象が(Parallels Toolsがインストールされた)Windowsの場合に限られるが、iOS上でコピーした文字列をゲストOSにペーストする機能も追加された。コピーできるのは文字列のみだが、ファイルダウンロードに使うURLをWindowsに伝える作業すら一苦労していたことを考えると、ありがたい機能といえる。

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以上、若干駆け足気味にParallels Desktop 7の新機能を検証したが、Lionのサポート、とりわけ「フルスクリーンモード」への対応は、アップデートの価値ありと考える。SafariやiTunesがフルスクリーン化されると、かえって操作しにくくなる部分もあるが、仮想化ソフトのゲストOSにかぎればそれはない。Windowsが、Chrome OSが、Ubuntuが、独立した仮想デスクトップを割当られた1つのアプリケーションとして動作するのは、かなり快適だ。これでメモリをふんだんに搭載したMacがあれば、これまでになく快適な仮想化マシン実行環境となるだろう。