三洋電機は16日、「Green Technology Forum~お米からパンを作る「GOPAN」社会的価値創造の軌跡~」と題して、発売と同時に大反響を呼んだ「GOPAN」の現在までの展開について発表した。
消費者も米の消費拡大への貢献を意識
「GOPAN」は、2010年11月11日に発売。その後12月1日以降、あまりにも反響が大きかったため受注を見合わせ、約5カ月が経った4月27日に販売を再開した。6月11日現在の累計出荷台数は10万台。発売後7カ月経過しているものの、実質的にはおよそ2カ月間での実績といえる。
人気の理由は、やはり米粒からパンが焼けるという世界初の機能だ。その他、「もちがつける」「ピザ生地が作れる」「ジャムが作れる」など、幅広い購入の理由が消費者から挙がっているが、「米の消費拡大に貢献できるから」という理由も3番目を占めている。消費者の意識の高さがうかがえる。
これは、三洋電機の「GOPAN」開発の理由にも共通している。昨年夏の商品発表会では、3つの目標が掲げられた。まず、「食料自給率の向上」。「GOPAN」で国産米を使った米パンを国民ひとりが1カ月に1斤食べると、食料自給率が約1パーセントアップするという。
続いて、「食育」として朝食欠食の改善を目指す。そして、「地産地消」の促進による地域活性化。各地方独自の地元産米パンレシピ開発など、新たな米の消費・販売を提案している。なお、地域によっては、「GOPAN」の購入を助成する自治体も出てきているという。
昨年10月に新潟市で開催された日本APEC食料安全保障担当大臣会合には、民間として唯一参加し、海外からも高い注目を集めた。
日本の農の未来を目指して
「GOPAN」は、消費者のみならず、米の生産者、地方自治体、農林水産省、米穀店などからも予想以上の反響があったという。国や自治体による「GOPAN ACTION」が展開されているほか、地元の食材をテーマにしたオリジナルレシピをクックパッドで募集し、99レシピが投稿された。レシピ本もすでに数冊出版されている。この夏には、水産加工品を使ったレシピ開発「三陸海の幸」キャンペーンが、水産庁後援で実施される予定だ。
今回の発表の席には、米穀店「山崎商店」の山崎正人代表理事も出席。約15年で店舗数が半減した米穀店の現状を説明する一方、「全国米国店経営研究会」の活動などを報告した。米のプロである米穀店と「GOPAN」の出合いは、米パン食の広がりに大きな推進力となっている。現在、全国11店舗の米穀店が「お米の未来づくり推進店」として登録。今後、その数はさらに増加していく予定だ。
もちもちの食感とたっぷりとした食べ応え
発表会後には、米パンの試食が行われた。その食感は、普通のパンに比べ、みずみずしくやわらか。もっちりとした歯応えがあって、ほんのりとお米の香りが漂う。そして、意外にも食べ応え充分。
なめたけディップ、櫻じゃこディップのトッピングもユニークな味わいだが、やはり米のパンであるためか違和感はない。クックパッドのレシピコンテストでグランプリに輝いた宮城名物「くるみゆべしトースト」は、こんがりと焼かれた米パンが、風味豊かで甘く香ばしいくるみゆべしを引き立てている。見た目はまったく異なるのだが、なんとなく米パンが餅のようにも思えた。
さまざまな米によって、異なる食感や味わいの米パンができる「GOPAN」。日本の農業、そして食卓、さらには世界で、革命的な活躍をしていくのかもしれない。