Firefox web browser - Faster, more secure & customizable

MozillaのChristian Legnitto氏が2011年に実施を目指す13の内容を発表した。Christian Legnitto氏はAppleでMac OS XやそのほかApple関連のソフトウェアのリリースエンジニアリングに関わってきた人物。Appleを退社したあと2010年3月にMozillaに就職。Appleでの経験を活かしMozillaにおいてリリースエンジニアリングやプロジェクト管理に携わっている。氏が紹介する2011年の作業目標は2011年におけるFirefoxリリースやMozillaプロダクトリリースがどう変わるかを示唆する内容として興味深い。紹介されている内容は次のとおり。

  1. Firefoxリリースを完全に自動化するメカニズムを構築する。これはきわめて重要で2011年中には実現させる必要がある。現在のリリースエンジニアリングではリリース作業中に多くの人々がスクリプトの管理を実施し、IRCやメールで頻繁にコミュニケーションを取らなければならない。
  2. PulseをMozillaツールおよびプロセスの基盤として活用する。これによって組織にまたがって行われる煩雑な作業を削減し、情報をより透過的に扱えるようにする。メッセージング技術にはAMQPを採用する。
  3. リリース管理システムをAppleで実施していたときのように変更していく。Pulseがソースコードとビルドシステムを統合する要となる。
  4. Mozillaが担当しているクライアントソフトウェアすべてに対して、そのリリースプロセスとプロジェクト管理プロセスの標準化を進める。これも2011年中には完成させ、多くのソフトウェアの同時リリースを実現していく。
  5. Mozilla Bugzillaのワークフローの改善を実施する。
  6. バグメールの閲覧およびチェックを容易にするための改善を実施する。
  7. 1999年からBugzillaに存在しているバグを修正する。
  8. MediaWikiエクステンションを完成させリリースする。
  9. Mozillaにおけるリポジトリの構成やプロジェクトへのアプローチ、リスク管理の方法など自身が考えていることをビデオとして公開する。希望としてはこの考えが受け入れられ実装されてほしい。
  10. 年に4回のFirefoxリリースへ向けて取り組みを進める。可能な限りスムーズなリリース実現を目指す。
  11. ここ数ヵ月の間取り組んでいるシークレットプロジェクトを公開する。
  12. ほかの担当希望者が現れなければ、エクステンションおよびプラグインブラックリスト担当者としての任をとる。
  13. Appleでの経験の多くをMozillaにおける経験と比較しながらブログにまとめる。

リリースプロセスやプロジェクト管理の円滑化とより進んだ自動化を実現するための取り組みを計画していることがわかる。特に興味深いのは年4回のリリースを実現するための作業に取り組むという説明がある点にある。急速にユーザ数を増やしているChromeは1ヶ月半ごとにメジャーリリースを実施し、アップグレードも完全自動で実施することで迅速な最新版の提供を実現している。提供している機能を考えるとFirefoxが即座に同じ方法を採用するというのは難しいといえるが、現在よりも細かい周期でのリリースを実現するための取り組みがあることは注目しておきたい。

またAppleにおけるリリースエンジニアリングやプロジェクト管理について、Mozillaの方法と比較してブログにまとめたいとしている点にも注目したい。ソフトウェア開発におけるリリースエンジニアリングやプロジェクト管理の一手法として参考にできる可能性がある。