マカフィーは、2010年11月のサイバー脅威の状況を発表した。これは、マカフィー社のデータセンターが捕捉したウイルスなどの集計をもとに、各項目ごとのトップ10を算出したものだ。11月は、脆弱性(CVE-2010-2568)を悪用するウイルスが猛威をふるっている。McAfee Blogからは、Google Codeの悪用事例を紹介しよう。

ウイルス

まずは、検知データ数の1位となったにExploit-CVE-2010-2568に注目したい。先月から件数は半分以下となっているが、相変わらずの猛威をふるっている。McAfee Labs東京・主任研究員の本城信輔氏によれば「現在、この脆弱性は様々なマルウェアで悪用されており、制御システムを攻撃することで注目を浴びたStuxnetワームもこの脆弱性を悪用して感染する機能を持っています。この脆弱性を修正していない場合、不正なショートカットが存在しているフォルダを閲覧するだけで自動的にDLLファイルがロードされて実行されるため、脆弱性は早急に修正してください」と注意喚起を行っている。

さらに本城氏は「これまでは、リムーバブルメディア経由の感染はAutorun.inf経由によるものでしたが、このExploit-CVE-2010-2568による感染も数が急増しております。(中略)Autorun.inf経由の感染(Generic!atr)と、このCVE-2010-2568による感染が、検知会社数と検知データ数でそれぞれ1位にランクしていることから、リムーバブルメディアのセキュリティ対策も同時に見直すことが必要です」と感染拡大への対策を強調していた。

そのほか、ランキングでは先月多数報告されたDrive-by-Download攻撃で使われたDownload-BLV.gen.aやそれに関連するJS/RedirectorやAdClicker-CRがランク外となった。一方で、検知マシン数の8位にランクしたW32/Xirtem@MMであるが、いわゆるマスメーラと呼ばれるウイルスである。感染するとアドレス帳を悪用し、ウイルスが添付されたメールを大量送信する。知り合いであることで、つい注意力が低下し、添付されたウイルスを開いてしまい、さらに感染が広がるといった危険性がある。かつて、この手口を使った方法で、感染拡大を引き起こした事例も少なくない。これから年末・年始にかけては、クリスマスカードや年賀状でメールを使う機会も増えるであろう。知り合いからのメールでも、添付ファイルには十分注意をしてほしい。

表1 2010年11月のウイルストップ10(検知会社数)

順位 ウイルス 件数
1位 Generic!atr 1,137
2位 Generic!atr 515
3位 PWS-Gamania.gen.a 151
4位 Generic.dx!ume 140
5位 Generic.dx 136
6位 Generic.dx!umj 132
7位 W32/Conficker.worm.gen.a 121
8位 Generic.dx!uoe 120
9位 PWS-LegMir 112
10位 Generic.dx!uli 101

表2 2010年11月のウイルストップ10(検知データ数)

順位 ウイルス 件数
1位 Exploit-CVE-2010-2568 87,454
2位 Generic.dx!upv 52,106
3位 W32/Almanahe.c 35,583
4位 W32/Conficker.worm.gen.a 31,182
5位 W32/Conficker.worm!job 28,567
6位 W32/HLLP.Philis.remnants 19,702
7位 Generic!atr 13,004
8位 Generic.dx!umg 11,873
9位 Generic PWS.ak 7,793
10位 W32/Fujacks.remnants 6,144

表3 2010年11月のウイルストップ10(検知マシン数)

順位 ウイルス 件数
1位 ウイルス 件数
2位 W32/Conficker.worm.gen.a 2,798
3位 W32/Conficker.worm!job 2,591
4位 Generic PWS.ak 1,686
5位 PWS-Gamania.gen.a 450
6位 Generic.dx!uyu 410
7位 Generic.dx!ume 339
8位 W32/Xirtem@MM 333
9位 Generic.dx!uoe 316
10位 PWS-LegMir 311

PUP

PUP(不審なプログラム)は、いつもながら大きな変化は見られない。3つのランキングでは、下位のランキングでいくつかの変動が見られた程度ある。件数は微減といったところであり、ほとんど変わらないといってもよいであろう。フリーソフトの使用にあたっては、引き続き注意をしてほしい。

表4 2010年11月の不審なプログラムトップ10(検知会社数)

順位 PUP 件数
1位 PUP 件数
2位 Adware-OptServe 790
3位 Generic PUP.d 674
4位 MySearch 406
5位 MWS 390
6位 Generic PUP.z 381
7位 ASKToolbar.dll 269
8位 Adware-Softomate.dll 242
9位 RemAdm-VNCView 217
10位 generic!bg.fmx 176

表5 2010年11月の不審なプログラムトップ10(検知データ数)

順位 PUP 件数
1位 MWS 78,804
2位 Adware-OptServe 50,442
3位 Generic PUP.x 47,071
4位 MySearch 41,352
5位 Generic PUP.d 30,146
6位 Exploit-MIME.gen.c 18,262
7位 Adware-DoubleD.dll 14,047
8位 ASKToolbar.dll 13,967
9位 Generic PUP.z 13,629
10位 RemAdm-VNCView 12,944

表6 2010年11月の不審なプログラムトップ10(検知マシン数)

順位 PUP 件数
1位 Generic PUP.x 2,700
2位 Adware-OptServe 1,500
3位 MySearch 1,413
4位 Generic PUP.d 1,239
5位 RemAdm-VNCView 835
6位 MWS 653
7位 Generic PUP.z 593
8位 508
9位 Adware-Softomate.dll 340
10位 Adware-UCMore 295

McAfee Blogより

McAfee Blogでは、日々検知される脅威などについて、最新の分析結果を知ることができる。今回は、Google Codeを悪用した事例を紹介したい。Google Codeはオープンソース開発支援のためのホスティングサービスである。これを悪用したものである。

図1 McAfee Blog:スパマーに悪用される「Google Code」(McAfee Blogより)

紹介された事例では、図1のような画面が表示される。ここで、クリックをすることで、偽のコーデックのダウンロードサイトやアダルトサイトに誘導される。有名サイト悪用する事例はこれだけではない。注意していただきたい。