カシオ計算機「HIGH SPEED EXILIM EX-ZR10」は、光学7倍ズームを搭載した薄型デジカメだ。注目は、リコンフィギュラブルプロセッサー対応の新エンジンと裏面照射型CMOSの組み合わせで、高度な画像処理を高速で行えること。そのレビューをお伝えしよう。
高速撮影を得意とする「HIGH SPEED EXILIM」シリーズは、これまでに、薄型デザインの光学5倍ズーム機「EX-FC150」や、マニュアル露出もできる高機能な光学10倍ズーム機「EX-FH100」などのラインアップをそろえていた。今回のEX-ZR10は、ズーム倍率ではこの2台の中間となる光学7倍ズームを搭載したモデルだ。
いちばんの見どころは、高機能と高速処理を併せて実現する「リコンフィギュラブルプロセッサー」を組み込んだ新エンジン「EXILIMエンジンHS」の採用によって、画像処理をはじめとする各種のレスポンスがいっそうスピードアップしたこと。
電源ボタンを押すと沈胴式のズームが瞬時にせり出し、約1秒で液晶モニターが点灯して起動する。AF駆動やレリーズタイムラグ、画像の書き込みは非常に高速で、待たされることなく次々とシャッターを切ることができる。メニューの操作やモードの切り替えについても、操作の反応はきびきびしていて気持ちがいい。
新機能では、高速連写を応用した「HDR」機能に注目したい。これは、1回のシャッターで露出が異なる3枚を高速連写し、その3枚を自動合成することで、ハイライト部からシャドウ部までの幅広い階調を持った1枚の画像に仕上げる機能だ。逆光や夜景など、明暗差の大きなシーンでも白とびや黒つぶれを最小限に抑えることができる。
最近は、同様のHDR機能を搭載したカメラが増えているが、その効果は機種によってまちまち。EX-ZR10の場合はかなり強めの処理で、最大で13EVという広いダイナミックレンジを得られる。
さらにユニークなのは「HDRアート」機能だ。基本的な仕組みはHDR機能と同じだが、合成の際に局所的にコントラストや彩度が調整され、まるでCGやイラストのような極端なHDR画像となる。こうした絵画的なHDRの表現は、近ごろはウェブ上でよく目にするが、これまでは画像ソフトによってPC上で作り出されていた。それを撮影機能としてカメラに搭載し、1回のシャッターで手軽に撮影できるのは本モデルならではだ。……つづきを読む