ソニーブースのテーマは、「Road to Zero」。環境負荷ゼロを目指した同社の取り組みを紹介している。

インダストリアルパーク「ソニーの森」の3D体験

メインステージのテーマは「ソニーの森」。同社のビデオカメラ、デジタルカメラなどの生産拠点である「ソニーイーエムシーエス東海テック幸田サイト」は、1972年の設立以来、約40年に渡り、緑化活動に取り組んできている。この活動により、同工場の一角は、ソニーの森と呼ばれるインダストリアルパークへと変化。現在は、鳥獣保護区にも指定されるなど、地域住民の憩いの場となっている。ステージ上の3Dスクリーンでは、同工場での活動の様子などを紹介。さらに、ワークショップとして、子供たちに森の生態系に重要な腐葉土作りを体験させるコーナーも設けられている。

ソニーイーエムシーエス東海テック幸田サイトにある「ソニーの森」を紹介するメインステージとワークショップ

非接触充電と太陽電池を中心とした未来の部屋のコンセプト

未来の部屋のコンセプトのコーナーでは、環境負荷ゼロを目指した部屋のコンセプト展示が行われている。一昨年のエコプロダクツでは、色素増感太陽電池のワークショップが行われていたが、これを、部屋の窓に展開。発電した電気を壁の内側に蓄え、非接触給電により、さまざまなデバイスに送り、動作させるというコンセプトを提案している。また、部屋の中に設置されているデバイスは、表示部に消費電力の少ない電子ペーパーを使用している。

コーナー横には、360°どこから見ても裸眼で立体視が可能な円筒形ディスプレイを参考出展。会場では、内蔵されているフラッシュメモリーからの再生を行っているが、本体にはHDMI入力端子も設けられており、外部機器からの映像も表示可能だ。ただし、映像フォーマットは、360°表示専用のものとなるとのことだ。

色素増感太陽電池と電子ペーパー

タイル上の太陽電池を壁面に敷き詰め、給電は非接触で行う

360°どこからでも、立体視が可能な円筒形ディスプレイ。写真では、カエルの絵が表示されているが、裏側に回ると、ちゃんとカエルの後ろ姿が表示されている

世界で初めて無水銀化を達成したアルカリボタン電池

ブースには、同社が世界に先駆けて実現した無水銀アルカリボタン電池「水銀ゼロ」シリーズのコーナーが設けられている。以前は、ボタン電池には酸化水銀と亜鉛を使用した水銀電池が使用されてきたが、水銀の環境負荷が問題となり、酸化銀と亜鉛を使用した酸化銀電池や、二酸化マンガンと亜鉛を使用したアルカリボタン電池へ置き換えられている。ただし、酸化銀電池やアルカリボタン電池の場合でも、負極側に水素ガスが発生するのを防ぐために、少量の水銀が使用されてきた。もちろん、使用済みのボタン電池は、店頭でのリサイクルが行われているが、それでも、家庭ゴミとして出される分もあり、完全に水銀の環境負荷を無くすことはできていない。通常の酸化銀電池やアルカリボタン電池から単純に水銀を取り除いた場合、発生した水素ガスによって電池自体が変形、液漏れなどを引き起こす危険がある。

同社では、2004年9月に、酸化銀電池で、水銀の使用をゼロにした製品を世界に先駆けて発売。その後、2009年10月には、アルカリボタン電池でも、水銀ゼロの製品を発売した。これらのボタン電池は、水銀を使用せずに、水素ガスの発生を抑え、さらに発生した水素ガスを吸着する仕組みが取り入れられているのが特徴だ。

水銀を一切使用していないボタン型電池「水銀ゼロ」シリーズ。左から、酸化銀電池の「SR」、アルカリボタン電池の「LR」、リチウム電池の「CR」