図1 PowerX PerfectDisk 11 Pro

ネットジャパンは、同社から販売されるデフラグツールのPowerX PerfectDiskの新バージョンとなるPowerX PerfectDisk 11 Pro(以下、PerfectDisk 11と略記)のパッケージ販売を7月23日より開始。ダウンロード版はすでに販売されている。販売価格は、ダウンロード版が4,725円、パッケージ版が6,195円となっている。ほかにも複数のライセンスに対応した販売形態もある。詳細はネットジャパンのWebサイトを参照してほしい。

まずは、PerfectDisk 11のシステム要件である。

  • CPU:Pentium(または完全互換)以上のCPUを搭載したIBM PC/AT互換のPC
  • 対応OS:Windows 7(32ビット版および64ビット版の各エディション)、Windows Vista(32ビットおよび64ビット版の各エディション)、Windows XP Home Edition/Professional(SP3以降)、Windows XP Professional x64 Edition(SP2以降)
  • メモリ:Windows 7/Vistaは512MB以上(1GB以上を推奨)、Windows XP Home Edition/Professionalは128MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDD空き容量:インストール用に40MBの空き容量が必要
  • 対応ファイルシステム:FAT16、FAT32、exFAT、NTFS(NTFS以外はオンラインデフラグのみ)

また、インストールで光学ドライブ、アップデート用にインターネット接続などが必要となる。

PowerX PerfectDisk 11 Proの新機能

今回のバージョンアップで追加された新機能は以下の通りである。

  • ドライブ分析とデフラグのさらなる高速化を実現
  • SSDをサポート
  • SMARTPlacementの設定値オプション
  • 指定サイズ以上のファイルの断片をデフラグ実行時に無視
  • リソース利用の監視
  • ドライブマップの新機能
  • ドライブタイプを自動検出(外付けドライブ/フラッシュ/SSD)
  • VSS互換モードの最適化に新たな設定値
  • StealthPatrolにより最適化を実行しない期間を設定可能
  • ファイル単位の最適化を強化
  • 空き領域レポートを改良
  • ユーザーインタフェイスの改善

本稿では、これらのうち、いくつかの新機能について紹介したい。

SSDに対応した「PerfectDisk 11」

最近、注目されている記憶メディアにSSD(Solid State Drive)がある。これは、フラッシュメモリを使ったディスクである。従来のHDDと違いモータなどがなく、耐障害性が高く、動作も高速といったメリットがある。しかし、大きな欠点として、書き換え可能回数に制限があることだ。つまり一定の回数以上の書き換えを行うと使用不能になってしまうのである。そこで、特定の場所に書き換えが集中しないように書き込み分散処理(ウェアレべリング)が行われる。

このため、最適化を行っても意味がない、デフラグで多くの書き換えが発生することでSSDの寿命を縮めてしまうといわれていた。しかし、PerfectDisk 11は自動的にSSDを検出。最適化の実行が設定されているかどうかを判断し、SSDに最適なデフラグパスを実行することで、高速化を達成している。 PerfectDisk 11をインストールすると、図2のような設定画面となる。

図2 インストール完了時の「はじめに」画面

この段階で、[SSDドライブのデフラグを許可する]というチェックの有無を指定することができるようになっている。SSDを使用しているならば、忘れずにチェックをしておこう。実際にSSDを接続すると、新機能の1つであるドライブタイプの自動認識により、図3のようにSSDと認識される。

図3 ドライブタイプの自動認識

このようにSSDと認識されてしまえば、あとはPerfectDisk 11が自動的にデフラグを行ってくれる。SSDであることを特に意識する必要もない。

新しいPerfectDisk 11のインタフェース

PerfectDisk 11では、いくつかのインタフェースの改良・変更が行われている。それらを見ていこう。まずは、ドライブマップである。ファイルの空き領域の断片化の状態を棒グラフで表示するようになった(図4)。

図4 ドライブマップで断片化の表示

図4のドライブマップでは、ブロック内に配置されたファイルを確認できる。表示したいブロックで右クリックをし、[ファイルを表示]を選択する。断片化されたファイルを確認したり、ファイル利用統計情報を表示できる(図6)。

図5 ブロック内に配置されたファイルを表示

また、リソース利用の監視も可能となった。CPUおよびディスクI/Oなどシステムリソースの使用率を監視することができる(図6)。

図6 リソースの監視

より細かな設定が可能となったPerfectDisk 11

PerfectDisk 11がデフラグを実際に行う際には、"SMARTPlacement"という技術が使われる。これは、ファイルの更新頻度を分析し、使用頻度の高いファイルを空き領域側にまとめて再配置するというものである。使用頻度の低いファイルとは、つまり書き換えをされる可能性の低いファイル(主に読み出し専用に使われるようなファイルと考えればよい)ともいえる。

これらを的確に分類し、再配置することにより、分断化が発生しにくく、かつ次回のデフラグ時に時間を短縮することができる。これまでのPerfectDiskでは、この判定などがすべてPerfectDiskによって定められていた。PerfectDisk 11では、SMARTPlacementの設定値オプションが選択可能となった。メニューにある[ドライブのプロパティ]から[SMARTPlacement]を選択する(図7)。

図7 SMARTPlacementの設定値オプション

[テンプレートの選択]に雛型ともいえるテンプレートが登録されている。デフォルトから変更すると日数などが変化していく。[最適化をカスタマイズ]を選択すれば、自由に設定が可能である。この設定で、[(MB)を超えるファイルの断片は無視する]で指定サイズ以上のファイルの断片を無視することができる。サイズの大きなファイルのデフラグや再配置を除外することで、デフラグ時間を短縮することができる。

PerfectDisk 11では、定期的にデフラグを行ったり、StealthPatrolを使用し、システムのアイドル時にドライブのデフラグを行う機能がある。PerfectDisk 11では、除外オプション(実行回避設定)が追加された。設定した日時などにはデフラグを実行しないようにできる。たとえば、必ずこの時間帯には、PCを使用するのでStealthPatrolといえども起動してほしくないといった利用が可能になる。

図8 デフラグの実行回避設定

図8では、7/10の13時から16時までは、デフラグを実行しないようにしている。これまで以上に細かく、設定を行うことが可能となった。

着実に進化する「PowerX PerfectDisk 11 Pro」

今回は具体例を紹介できなかったが、今回のバージョンアップでは、ドライブ分析とデフラグのさらなる高速化といった最も恩恵のある新機能の追加も行われ、カスタマイズの幅も広がった。筆者はPerfectDisk 2008の頃からPerfectDiskを愛用している。イメージバックアップ前のデフラグ、ファイル単位のデフラグなどを比較的よく利用する。

デフラグといえば、OSに標準で搭載されているが、ほとんどそちらを使うことはない。前回のバージョンアップで、PerfectDiskもより完成度の高いツールとなったと思った。しかし、今回のバージョンアップではさらなる機能強化が施されており、その進化に驚いた次第である。ネットジャパンでは、30日間の使用制限がついた体験版を公開している。興味があれば、ぜひ試してみていただきたい。