「SimilarWeb」

"似たもの探し"。この文字を目にすると、小学生の低学年の授業か何かの光景を思い出す。黄色いもの、赤いもの、青いもの、数字の大きいもの、小さいもの、アルファベットのもの、日本語のもの。なにやらカードのようなものを、似たもの同士でグループに分けては競い合っていたような記憶がある。色で分ける方法、大小で分ける方法、言語によって分ける方法。"分類する"ということは極めてベーシックな概念ながら、なかなか奥が深い。簡単なように見えるが範囲が大きくなると途端に困ってしまう。

膨大に存在するWebサイトをこれらカードにたとえてみると、検索サイト、ショッピングサイト、ニュースサイトというような分け方もあるだろうし、国内サイトや海外サイトなどの分け方もできるだろう。しかし膨大なWebサイトである。カードのように簡単にできそうもない。「SimilarWeb」というFirefoxのアドオンは、この"似たもの"を瞬時にサイドバーを使って表示してくれる便利ツールだ。検索サイトを使って、探し出したあるWebサイトを閲覧、"ここじゃないなぁ。"と、また検索サイトに戻って繰り返す前に、サイドバーに表示されているWebサイトのサムネイルをクリックしてみるとよいだろう。探していた情報に手間を省いてたどり着けるかもしれない。

注意:本稿では、Firefoxのアドオンのインストールを行っていますが、ソフトウェアの利用は使用者の責任で行ってください。

「SimilarWeb」はFirefox 3.0から3.7a3preまでのバージョンに互換性がある。インストールするには、Mozillaのアドオンサイトから[Firefoxへ追加]ボタンをクリックし、再起動すると完了だ。再起動するとナビゲーションツールバーに「SW」のアイコン、サイドバーには「SimilarWeb」のサイドバーが表示される(図1/2)。

図1 Mozillaのアドオンダウンロードサイト「SimilarWeb」から追加する

図2 インストールが完了するとナビゲーションツールバーに「SW」のアイコンが、サイドバーには「SimilarWeb」のサイドバーが表示される

「SW」ボタンを押すと、数多くの"似たものWebサイト"が表示される。Google.comを表示させた状態でこのボタンを押すと、BingやYahoo!、AltaVistaなどの有名な検索サイトと並んで、あまり知らないサービスも並ぶが、好奇心を引く新しいものも多い。同アドオンは、SimilarGroup Ltd.というイスラエルの企業により作成されているが、同社はすでに数百万Webサイトのマッピングを行っており、日々これらを増加、アルゴリズムには必ずしも知名度のレイティングだけではなく、利便性や好奇心をも考慮に入れたものであると明示してある。(図3)

図3 [SW]のボタンをクリックすると表示しているWebサイトと似たWebサイトの一覧が表示

サイドバーにも同様に"似たものWebサイト"が表示されるが、こちらはサムネイル付きの表示になる。断然、こちらのほうが使いやすい。Webサイトを訪問したときに、そのトップページの作りというか構造が、我々ユーザーに与える影響ははかりしれない。Google やBingのように検索窓ひとつのシンプルな配置には、検索後のデータ表示の自信が垣間見られるし、ニュースサイトでは、ニュースの表示の仕方、可読領域の範囲などもサムネイルで把握できる場合もある(図4/5)。

図4 サイドバーにはサムネイルで似ているWebサイトが表示される。筆者はこちらのほうが使い勝手がよい

図5 マイコミジャーナルを表示させたところ。サイドバーには「SimilarWeb」が似たものと判断しているWebサイトのサムネイルが表示

サイドバーではサムアップ/ダウンのアイコンが設置してあり、これらを投票することもできる。独自の判断アルゴリズムの中にユーザーからの投票指標も組み入れてある。またサイドバーにユーザー自身が独自に加えておくことも可能だ。サイドバー上部にある [+Add similar site]をクリックするとURLを埋め込むポップアップが表示されるので、ここに自身が入れておきたい Webサイトを表示上加えておくことも可能だ(図6/7)。

図6 サイドバーのサムネイルでは、ユーザーが判断して似ているかどうかの投票を行うこともできる

図7 同様にユーザーがカスタマイズして似たものを設定しておくこともできる

そのほか、ブログサイトやニュースサイトから似たような記事を表示するというSimilar ArticlesやWebサイトでのつぶやきを表示するRecent Buzzなどの機能もアイコンで表示されているが、残念ながらこちらはまだ日本のサイトでは、それほど実用的であるとは感じられない (図8)。

図8 図は表示Webサイトでのつぶやきを表示する機能「Recent Buzz」

図9 NASAのWebサイト

基本が海外のサービスなので、英語でのネットサーフィンでは威力が思う存分発揮される。たとえば、NASA。ご存じ、米国の航空宇宙局のWebサイトだ。NASAの Webサイト自体、ニュースからムービー、スケジュールごとに映像プログラムを配信する"NASA TV"まで、実に充実しているのだが、SimilarWebのサイドバーを見ると、そこにはさらに興味深いWebサイトも瞬時に美しいサムネイルで表示される。ハッブル宇宙望遠鏡のWebサイト、宇宙についての総合的な知識を得られるwww.space.comなど、いずれも好奇心をかき立てられる情報量の多いWebサイトである。ネットサーフィンで知識を広く吸収するためには、なかなか有益なツールであると思った次第である(図 11/12)。

図10 NASAのWebサイト

図11 ハッブル宇宙望遠鏡で撮影したはるか彼方の銀河や星を見ることが可能な「HubbleSite」

図12 宇宙に関する情報が満載の「SPACE.com」