SAP User Experience Management by Knoaによる
SAPユーザー効率化の実現

UEMを行うことは、SAP導入のTOC削減、そしてROI向上という観点からも非常に重要ですが、なぜ、これまで十分に行われていなかったのでしょうか。1つの理由には、これをサポートする仕組み、システムがなかったといえます。

たとえば、データベースやアプリケーションサーバー、ネットワークのパフォーマンス監視システムは、ハードウェア・ソフトウェアベンダー各社から提供されています。SAPもアプリケーションレベルの監視システムとして、SAP Solution Managerを提供しています。ところが、SAPを使ってのビジネスそのものが効率的に実行されているのか、エンドユーザー視点から評価するという課題に対しては十分ではありませんでした。

そこで、SAPでは、米国のソフトウェア会社Knoa(ノア)社とアライアンスを組み、SAP User Experience Management by Knoa (SAP UEM by Knoa)として、ユーザー効率化のソリューションをご提供しています。

SAP UEM by KnoaはSAPユーザーの操作や行動情報を分析します。たとえば各ユーザーの画面ごとの処理時間やエラー発生個所、エラー発生件数、SAPへのログオン時間、アイドルタイムなどの詳細情報を収集します。そして、さまざまな切り口からユーザー情報を分析することで、SAPユーザーが何の問題に直面しているのかを発見します。これにより、SAPユーザーの課題を可視化し、それに対する対策を行い、SAPをより効果的に使いこなすPDCAサイクルを回すことができます(図2)。

SAP UEM by Knoaを利用したユーザーパフォーマンス課題の特定

SAP UEM by Knoaのしくみ

SAP UEM by Knoa とは、どのようなものなのでしょうか。SAP UEM by Knoaは、大きく3つの機能に分けられます。

第1に、SAPユーザーの処理情報を監視する「Knoa クライアントエージェント」。これは、SAPエンドユーザーが使用するクライアントを監視し、ユーザーがSAPのどの画面で、どのような操作に、どのくらいの時間を要しているのか、エンドユーザー操作・行動情報を監視します。

第2に、クライアントエージェントから収集した情報を収集/分析する「Knoaコレクション・アナリシスサーバーおよびデータベースサーバー」。これは、文字どおり、クライアントPCから発信された情報を収集・蓄積し・分析するためのエンジンであり、エンドユーザーの操作・行動情報をデータベース化します。

第3に、その収集されたデータを分析するツールである「Knoaコンソール」。あるユーザーの操作履歴情報、トランザクションごとのユーザーの平均処理時間、業務フローにおける平均処理時間などを分析します。あらかじめしきい値やKPIを設定し、それに対する評価を行うなど、BIツールとして視覚にわかりやすいレポートでの分析を行います(図3)。

SAP UEM by Knoaの仕組み