E-PL1の製品としての位置付けは、オリンパスのミラーレスカメラ「PEN」のローエンドモデルとなる。上位のE-P1/E-P2から外装を変更したほか、一部の機能や性能を抑えてコストダウンを図り、ユーザー層をいっそう広げる狙いを込めている。

スペックダウンしたのは、最高感度(ISO6400→ISO3200)や、最高シャッター速度(1/4000秒→1/2000秒)、液晶サイズ(3型→2.7型)、内蔵マイク(ステレオ→モノラル)、手ブレ補正の効果(最大4段分→最大3段分)、バッテリー寿命(約300枚→約290枚)、デジタル水準器(搭載→非搭載)などだ。細かい点では、縦/横の検出センサーが省かれ、カメラ内やPC上での、縦位置画像の自動回転表示が不可になった。

背面の右上にムービーボタンを装備。モードダイヤルの位置が「動画」以外の場合でも、このボタンを押すことで動画撮影ができる

絞り値とシャッター速度は、まず十字ボタンの上を押してから、液晶画面の表示を見ながら、十字ボタンの上下左右で設定する

操作面では、E-P1/E-P2にあった2つの電子ダイヤルを省いたことが大きい。絞りやシャッター速度のダイレクトな設定はできず、絞りやシャッター速度を調整するには、いったん十字ボタンの上を押してから、再び十字ボタンの左右または上下を押す必要がある。また感度とホワイトバランスは、E-P1/E-P2では十字ボタンで設定できたが、E-PL1ではOKボタンを押して「ライブコントロール」画面または「スーパーコンパネ」画面を呼び出してから設定する。

撮影モードの状態でOKボタンを押すと「ライブコントロール」と呼ばれる画面を表示。ISO感度やホワイトバランス、画質、アスペクト比などを設定できる

カスタマイズによって、ライブコントロール表示ではなく「スーパーコンパネ」表示に切り替えることもできる。同社ユーザーにはおなじみの操作画面だ

これらの変更は、各種設定へのアクセス性が低下し、細かい設定や機能を駆使したい時には少々もどかしく感じる。ただ、コンパクトデジカメの操作感に近いので、コンパクトデジカメからステップアップする人には、むしろ取っ付きやすいのかもしれない。

ガイドナンバー7の内蔵フラッシュをポップアップした状態。光量補正のほか、マニュアル発光、先幕/後幕シンクロ、ワイヤレス発光などに対応する

裏ワザ的な使い方になるが、フラッシュの付け根部分を指などで押さえれば、上に向けて発光できる。感度を上げればバウンス撮影も不可能ではない

E-P1/E-P2にはなかったポップアップ式のフラッシュを内蔵したことも、エントリー向けの改良といえる。雰囲気重視の撮影では不要だが、ちょっとしたメモやスナップ用では、やはりフラッシュはあったほうが便利。また、凝ったライティングを楽しみたい上級ユーザーにとっては、内蔵フラッシュのコマンダー対応がうれしいポイントだろう。コマンダーとは、内蔵フラッシュを利用して、オプションの外部フラッシュをワイヤレス発光させる機能だ。

エントリー機ながらカスタマイズ機能はまずまず充実。たとえば、ムービーボタンやFnボタンの割り当て機能を変更したり、液晶に方眼や対角線を表示させたりできる

Fnボタンには、水中撮影用のモードも割り当てられる。PENシリーズでは初めて、純正オプションの防水プロテクターを発売したことも話題だ。小型軽量の水中システムを構築できる

さらに、背面にムービーボタンを新設し、素早く動画撮影が可能になったことや、グリップの大型化によってホールドバランスが向上したことも見逃せない。E-P1/E-P2では不可だったISOオート使用時の感度表示にも対応している。…つづきを読む