今回Microsoftは、Windows Mobileの直接後継として「Windows Mobile 6.5.3」と次世代バージョンとなる「WIndows Phone 7」を発表した。しかし、Windows Phone 7は、Windows Mobile 6.x系を置き換える製品ではなく、6.x系の販売も継続される。詳細は不明だが、Windows Phone 7は、他社への対抗から大きく変化しており、互換性という点で、過去の資産を引き継ぐことが簡単ではない。たとえば、カーネルはWindows CE 6.x系が使われており、メモリ管理機能やカーネル構造が大きく変化した。カーネル自身が大きく違うため、これまでのWindows Mobile5.0~6.xでは、Windows CE 5.xカーネルを採用したままだった。しかし、このため、最大メモリ量やI/O処理の効率などでいくつかの問題があり、携帯電話用オペレーティングシステムとしては今や老舗でありながらも、iPhoneやAndroidといった新興勢力の台頭を許した。

Microsoftは、スティーブ・バルマー氏が登場。次世代のモバイル用オペレーティングシステムとしてWindows Phone 7を発表した

Windows Phone 7が動作しているプロトタイプ。動作などから、高速なプロセッサが採用され、グラフィックスアクセラレーション機能も搭載していると思われる。機能は完全ではないが、スムースに動作していた

今回のWindows Phone 7は、Microsoftが米国で販売する音楽プレーヤー「Zune HD(グラフィックスアクセラレータを含むNVIDIAのTegraを搭載している)」で使われたGUIがベース。スタイラスではなくタッチが前提で、軽快な動作が可能だ。おそらく、Windows Phone 7でも高性能なプロセッサとグラフィックスアクセラレータを前提とすると考えられる。マイクロフソトでは、基本的なリファレンスハードウェアを定め、これに対応したWindows Phone 7を提供する。複数の携帯メーカーが同一仕様のハードウェアを採用することで、部品調達コストが下がり、また、特定ハードウェアを前提としたソフトウェアの提供などにより、検証時間などが短縮され、開発期間、コストが軽減できる。マイクロソフトの試算よれば、これまでのWindows Mobileよりも原価コストは低くできるはずだという。ただし、販売価格は、メーカーや事業者が決めることであり、場合によっては高い利益率を採用する事業者、メーカーもあり、必ずしも安価な製品の登場を意味するものではないらしい。

Windows Phone 7の初期画面は、「Live Tile」と呼ばれ、機能やショートカットなどに対応する矩形を配置する。ここからメールや電話、個人の電話やSNSのメッセージなどへアクセスできる

また、これまでのWIndows Mobileや多くのスマートフォンがアプリケーションをアイコンとして登録、これを起動して作業していたのに対して、Hubという考え方を導入した。これは、あるカテゴリに属する処理やアプリケーションをまとめ、ユーザーに個々のアプリケーションを意識させないで利用させるものだ。

このHubは、「People」「Picture」「Productivity」「Music+Video」「Game」「Application」の6つあり、多くの機能は、これらのHubを選択したあとでリンクから起動することになる。たとえば、Peopleでは登録した人に対して、TwitterやFacebookでの活動の表示やメッセージや通話といった機能が利用できる。これまでと違い、アプリケーションを起動して人を選ぶのではなく、人を選んでから何をするのか、その人の状態を調べるといった感じになる。また、「Music+Video」は、現在のZUNE HDの機能をそのまま含み、「GAME」では、XBOX LIVEがそのまま利用できる。

Windows Phone 7では、機能を6つのHubに分類し、Hubに対応するページから関連する機能を呼び出す。Hubのページは、基本的は横長で、実機上では横スクロールで利用する

Pictures Hubでは写真の閲覧や写真タイトルの編集やSNSへのアップロードなどが行える

Music+VideoのHubは、マイクロソフトか米国で販売しているZuneと同じで、Windows Phone 7の発売時には、各国でZUNEサービスが開始される予定だという

このWindows Phone 7については、欧米など1バイトコード圏では、今年のホリデーシーズン(10~12月)に製品が登場する予定だという。

日本での販売については、行う意志はあるものの、開発やZUNEなどのサービスの立ち上げなどもあり、いまのところ時期が見えない状態だという。少なくとも、今年のホリデーシーズンということはなく、来年の登場になると思われる。

Windows Phone 7に対応することを表明したハードウェアメーカー。LG、Samsung Electronics、Garmin ASUS、HTC、HP、Dell、Sony Ericsson、東芝の各社