これからTwitterが求められるルールやマナーとは?

会場に聴き手として来ていた朝日新聞社の"中の人"が、「弊社では、ワールドカップ中継の際に(@asahiにおいて)"マッキー"という名でTwitterを行い、フォロワーが15万人ついた。カキ氷を途中で買いに行ってしまったり、前半が終わった後に試合終了と呟いてしまったりするなどのゆるい発言も多かったため、フォロワーの皆さんからは『これが朝日新聞?』との感想が多かった。手探りの状態でやっているのだが、大手の新聞社がTwitterをやることについて、皆さんがどう思っているのか気になる」と、会場に問いかけた。

ここで司会の神田氏が、「失言は許せるか否か」を会場参加者に訊ねると、8割程度の人たちが許せるに挙手した。許せないにはっきり手を挙げた人は数人のみ。その中から「組織の看板と個人の看板との切り分けが、日本だとできにくいのではないか。個人の看板に切り替えてしまえば、かなり許して貰えるのではないかと思う。例えば、インテルの広報(@IntelNewsJ)が個人の名前を出してやっているのは、いいことだと思う。会社が発言していると思うと許せないが、組織の代表ではあるが、一応個人だと見えることで許せるのではないか」といった意見も出た。

津田大介氏

これを受けて、「会社と個人を分ければすべて許せるかというのは、たぶん違うと思う。そのキャラの違いなどもあるだろう」とメディアジャーナリストの津田大介氏(@tsuda)。また、別の場面で津田氏は、「受け取り側のリテラシーの問題というか、『Twitterの発言だから仕方ないだろう』的なところもあるが、これは一つのトリガーにしてしまえばいいのではないか。(略)140字で、発信側も受信側も『伝わらない』ということをある種あきらめていて、それを受け入れてやっている。そういった中でTwitterを使う人が増えていくとウェブの空気もそれなりになっていくので、炎上の質も変わってくるのではないか」とも語っていた。津田氏はTwitter上で、シンポジウムなどをリアルタイムで中継するジャーナリスム手法を2年以上前から行ってきている。

ITジャーナリストの林信行氏(@nobi)は「世の中全員の人が許せる、または許せないというのはない。それよりも使い手にとっては『便利か便利ではないか』が重要だと思う。私自身は、Twitterには、これまでニュースサイトやメールなど、あちこち見なければいけなかったものを全部読めるという究極のポータルサイト的な利便性を感じている」と述べた。

また、林氏は、「読み手がすべてをフォローしているとは限らない。きちんと伝えるべきはやはりブログに書いて、その告知をTwitterでするなどの使い分けも、今はまだ必要だと考える」「Twitterの特徴としてフィードバックの良さがある。そこでは発信する側も進化して行くし、読み手も進化して行く。そして、その進化の速度が非常に速いと感じている」といった見解も語っていた。

iPhoneの伝道師として知られる林氏は、TwitterとiPhoneの親和性についてもよく自身のセミナーやイベントなどで紹介しており、移動途中や打ち合せ前の様子なども頻繁に"つぶやき"を行っている。同氏への現在のフォロワー数は9万人を超えている。

Twitterが今後、新しいメディアとして成長するには、ルールやマナー化がどう進んでいくかが気になるところだが、これについては、津田氏が次のように語っていた。

「イベント時などクローズドでの話をしていた話者にとっては、やりにくくなってきているのは確かだろう。だからといって規制してもそれは単なるマナーでしかない。また、プライベートな中での発言で、自分だけではなく他者から得た情報をどこまで出していくのか、その基準は人によってまったく違うと思うので、ルール化やマナー化はなかなか難しい。その部分をセンシティブに扱っていかないと、思いがけないトラブルに巻き込まれていく可能性があると強く感じている。一方で、その人の考え方やプライベートな部分を知ることで親近感を得られるという部分もあって、その辺は表裏一体とも言える。今後、アーリーアダプターと呼ばれる人たち以外の、例えば女子高生などに広まっていく時には、その秩序がどうなっていくのかはまだ予想も付かない」。

アジャイルメディア・ネットワーク 代表取締役 徳力基彦氏(@tokuriki)。日本におけるTwitterのライバルは「アメブロやmixiではないか」

オリジナルTシャツの企画・販売などを手がけるClubT 代表取締役 三宅朝広氏(@tmiyake、写真左)。「ヒウィッヒヒーTシャツ」制作したところ、広瀬香美さんの事務所を名乗る人物から「訴える」との連絡があったという。写真右は小説家・内藤みか氏(@micanaitoh)。Twitter小説集を11月に出版する予定