10月7日、±0(プラスマイナスゼロ)新製品発表会が±0青山本店(東京都港区)にて行われた。2004年10月に、唯一の直営店である青山本店がオープンして以来、今年でちょうど5周年を迎えたストアには、台風が接近するという悪天候の中、多くのプレス関係者が詰めかけた。日本が世界に誇るインダストリアルデザインブランドへの注目度の高さがうかがえる。

発表会冒頭のプラマイゼロ・平野友彦代表取締役社長の挨拶によれば、驚くことに±0の購入客の約1/4は外国人だという。家電などの中には海外では使用できないものもあるにもかかわらず、だ。また、ひと月ほど前にイギリスのライフスタイルカルチャー誌『Wallpaper』の編集者が青山本店を訪れ、平野氏と旧交を温めたそうだが、その際に「年季が入ってきた床を塗り替えるべきではない」とアドバイスされたそうだ。平野氏は費用が浮いたと笑っていたが、同時に、「青山本店の床が時間の経過とともに空間に馴染んできたのと同じように、±0の製品も人々の思い出やシーンとして生活の中に溶け込んでいってほしい」と話し、「これからも5年後、10年後に、±0の製品を使ってよかったと思ってもらえるものを目指していきたい」と結んでくれた。

±0デザインディレクター、深澤直人氏

続いて登場したのが、±0デザインディレクター、深澤直人氏。今やデザインコンシャスな外国人のスーベニアショップと化した青山本店だが、その背景として海外で圧倒的な知名度と人気を誇る深澤氏の存在があるのは言うまでもない。「"ここにくれば思ったものがある"というコンセプトの下に製品開発を行ってきた。プロダクトとしての存在感を持ちながらも背景の中にすっと溶けて消える、こういうプロダクトをつくってきたし、これからも発表していきたい」とシャイな人柄の深澤氏は照れくさそうに、だが力強く語ってくれた。

「加湿器 Ver.3」。グリーンは新色

深澤氏による新製品プレゼンテーションのトップバッターは、±0のアイコンともいえる「加湿器 Ver.3」(サイズ:305(W)×155.5(H)×305(D)mm、カラー:ホワイト・ライトブルー・ブラウン・レッド・グリーン、価格:19,950円)。2003年に発表されるや否や、それまでの加湿器の概念を覆し、瞬く間に話題を巻き起こした加湿器は、親しみやすいフォルムと艶やかな手ざわり、そして鮮やかなカラーで現在もなお高い人気を誇っている。そして、今回新色として登場したのが、グリーン。一見インテリアに採り入れるのが難しいように思えるが、抑え目のトーンのグリーンは、不思議と空間との相性がいい。深澤氏もお気に入りという自信作だ。

加湿器 Ver.3の小型バージョンともいえる、「加湿器S(アロマ)」

分解して掃除することも可能

続いて、「加湿器S(アロマ)」(サイズ:165(W)×155.5(H)×165(D)mm、カラー:ホワイト・ブラウン・レッド、価格:10,500円)。加湿器 Ver.3とあわせて違和感なく使えるように、Ver.3の中心から直径約160mmまでを残し、残りを削ぎ落とした円筒のようなデザイン。優れたデザインモチーフを後世に受け継いでいくという、ヨーロッパの自動車などにも見られる手法であり、±0のデザインフィロソフィーを垣間見ることができる。Ver.3はリビング、Sはベッドサイドやオフィスのデスクなどにちょうどいいサイズだ。また、両方ともに、アロマ用ポットが付属しているので、好きな時間、場所でアロマの香りを楽しむことができる。

金沢箔美術工芸品などで知られる「箔一」とコラボした「ウォールクロック」

加湿器の次にプロジェクターで映し出されたのは、厚さ約5mmの板材でできた±0のウォールクロックに金箔、銀箔、銅箔が施された「ウォールクロック 金箔仕様/銀箔仕様/銅箔仕様」(サイズ/φ250×33.4(D)mm、カラー:金箔・銀箔・銅箔(表面加工)、価格:金箔/31,500円、銀箔・銅箔/26,250円)。±0のシンプルなウォールクロックと、金沢の金箔美術工芸品メーカーである箔一とのコラボレーションは、深澤氏の言葉を借りれば、「工業製品の工芸化」。一見±0らしくないが、今後の新しい展開を示唆する魅力的なプロダクトだ。

「電子計算機 XS」 ※写真右は「ほぼ日」コラボモデル

工芸的なウォールクロックに続き、「電子計算機 XS」(サイズ:85.7(W)×54.2(H)×3.2(D)mm、カラー:ホワイト・ブラック・イエロー・レッド・グリーン、価格:1,260円)が登場。名刺よりもひとまわり小さいカードタイプだが、角を丸めたことでカードタイプにはないやわらかいフォルムを実現している。

食パンの形を連想させる、オーブントースター「XKT-T110」

さらに調理家電として、オーブントースター「XKT-T110」(サイズ:224(W)×298(H)×240(D)mm、カラー:ホワイト、価格:19,950円)も発表。上下二段に焼けるグリルで、食パンなどの他、ベーグル、パイ、お餅なども焼ける。中のトレイは取り出して洗えるなど、日々使うものとしての使い勝手に考慮している。食パンを連想させる長方形のデザインにも好感が持てる。

リストウォッチ「ZFW-T001/T002/T003/T004」

このほか、リストウォッチ「ZFW-T001/T002/T003/T004」(サイズ:40.2mm(ケース外径)、価格:29,925円)や、カードケース(サイズ:63(W)×99(H)×10.5(D)mm、カラー:ピンク・ライトブルー・ブラウン・ブラック・レッド・ブルー・ベージュ・ディープパープル、価格:1,050円)の新色も発表された。リストウォッチは、ベゼルの部分はヘアライン/グロス、文字盤はブラック/ホワイト、ベルトはファブリック/レザーを用意。それらが適正に組み合わされた4つのモデルとなっている。バンドを本体に固定するためのバネ棒がないので、全体がひとつのかたまりのように見え、全体としてのフォルムが美しく処理されている。

カードケース。ピンク・ライトブルー・ブラウンが新色。名刺約20枚収納可能

±0 新製品フォトコレクション