なぜClearTypeよりもBi-Level Renderingを好むユーザーがいるのか。この疑問を解決するためにMicrosoft本社にほど近いコミュニティセンターにおいて、非公式かつ小規模な検証が行われた。2つのまったく同じノートPCに一方はClearType、もう一方はBi-Level Renderingが設定され、被験者にどちらのPCが好きかを尋ねてみた。また、この実験は35人ずつの異なる3つの集団に対して行われた。結果は以下の通りだ。
| ClearTypeが好き | Bi-Level Renderingが好き | どちらでもよい | |
|---|---|---|---|
| サンプル1 | 33 | 1 | 1 |
| サンプル2 | 33 | 2 | 0 |
| サンプル3 | 33 | 2 | 0 |
| 平均(%) | 94% | 5% | 1% |
Bi-Level Renderingへのコメント
「なんだかぼけてて画面がチラチラする」「表示品質が悪い」「これがプリンタなら新しいカートリッジが必要ね」「数字なんかがにじんで見えるから、目を細めないと読めないよ」「集中できないわ」「壊れてる」「集中しないと読めない」「ギザギザしてるね」
ClearTypeへのコメント
「くっきりしてる」「文字が太い(複数回答)」「文字が濃くてはっきりしてる(4回答)」「もう片方よりもいい液晶を使っているみたいだ」「色が濃くてしっかりしていて格段に読みやすい(3回答)」「読みやすくてくっきりしてて好きだわ」
さらに2回の追加検証が行われ、一方では30人中28人が、もう一方では55人中52人がClearTypeが好きだと回答し、トータルでは120人中113人がBi-Level RenderingよりもClearTypeを好むという結果になった。なお、これらの結果はBi-Level Renderingが好まれていないということを示すのではなく、単純にClearTypeが好まれているということを示しているに過ぎない点に注意したい。
今後の予定
今後もより多くのユーザーに受け入れられる高品質なテキストレンダリング技術を開発するために研究を続けていく予定だ。また、それぞれの視覚システムには特徴があるため、ClearType テキスト チューナーが表示品質のカスタマイズを可能にしたように、視覚システムのチューニングも魅力的な研究対象となっている。たとえば、アメリカ合衆国の男性人口のうちの7%が色覚異常だが、ClearTypeのアルゴリズムを改善することで色盲ではないユーザーと同様、またはそれ以上に読みやすい文字を開発できると信じている。色覚障がいや弱視のユーザーにもより読みやすいようにテキストレンダリング技術の改善を行うのも重要なミッションのひとつだと考えている。
おわりに
PCのスクリーンを文字を読むのに最適な場所にする取り組みは我々にとって胸躍るものだ。さまざまな表示技術や人間の視覚システムを取り扱う技術的な挑戦と、微妙な違いが重要な意味を持つ中で美しい書体を創り出す芸術的な挑戦の両方の側面がある。それぞれのレンダリング技術にはユーザーによって長所と短所が存在するが、複雑な要素が絡み合っているために簡単には判断がつけられないところにまで来てしまっている。我々がしなければならないことは、開発者によりよいプラットフォームを提供するとともに、一般ユーザーにもわかりやすい、使いこなせるツールを提供することで、最終的な目標としてはきちんと機能する独創的な体験を提供したい。
Microsoftのチームは、1990年からこれらの問題に取り組み、フォントやフォントレンダリングソリューションの開発や読むという行為のメカニズムを解明するための研究を続けてきた。技術者とフォントデザイナー/アーティスト、心理学者で構成されたチームは、Microsoft中の専門家と協力して、この難問ながらもきわめて重要な作業に取り組んでいる。ユーザーがPCを使う時間のうちの80%以上を読み書きに費やしているなら、その時間はできる限り快適であるべきだと心から願ってやまない。