iPhone向け広告プラットフォームを提供する米AdWhirl (旧名 : AdRollo)が急成長を遂げている。試験運用を経て今年4月にiPhone/ iPod touch向け広告サービスを本格的に開始。「iPhone Apps広告市場のスナップショット」という同社の最新報告書によると、3日時点で早くも2億5,000万広告インプレッション/月のレベルに達した。無料アプリであってもApp Storeのトップ100に食い込むような人気ならば、1日に400ドル~5,000ドルの広告収入が可能だという。

同社の広告プラットフォームは、App Storeのトップ50アプリの10%以上から採用されている。これまでのところ、あるアプリ(匿名)が5,000ドル/日を達成したのを筆頭に、「Sound Grenade」が3,000ドル/日、「iFart Alert!」が2,000ドル/日、「5800+ Drink and Cocktail Recipes」(無償版有料版が存在する)が1,500ドル/日を記録した。

eCPM (広告1000回表示あたりの収益額)は0.50ドルから4.00ドル。上記のようなトップアプリの場合、CTR(クリックスルーレート)が2.6%でeCPMの平均が1.90ドルとなっている。AdWhirlによると、FacebookやMySpaceなどのソーシャルメディア広告の8倍程度のeCPMになるという。

AdWhirlは、AdMob、Quattro Wireless、Videoegg、Jumptap、Mobclixなど複数の広告ネットワークを利用している。広告インプレッションや広告収入は、フィルレート(広告リクエスト数に対して実際に表示される比率)に左右される。米国のモバイル広告ネットワークにおけるフィルレートの平均は60%だという。AdWhirlの広告プラットフォームでは、契約者がWebベースの管理画面を通じて自由に広告ネットワークを切り替えられる。また自動的に利用可能な広告ネットワークへと切り替える"ロールオーバー"を用意しており、同機能を用いれば「100%フィルレート」が可能だという。この広告配信効率の高さが2億5,000万広告インプレッション/月の原動力になっているようだ。

AdWhirlの報告書によって、広告を組み合わせた無料iPhoneアプリ提供というビジネスモデルの可能性が話題になっている。確かにAdWhirlが示したトップアプリの高い収益は印象的である。今日のiPhoneアプリの拡大を考えると、広告を表示する場として有望であり、いち早く効率的な広告配信に乗り出したAdWhirlの急成長もうなずける。

ただし広告効果という点では、まだ手探り状態だ。今後の広告主からの評価に注目する必要がある。また、AdWhirlの報告書はトップアプリに焦点を当てており、トップ100入りできない大部分のアプリの可能性には触れていない。米Pinch Mediaが2月に公開した報告書「AppStore Secrets」によると、長期にわたって使用されるアプリはダウンロード全体の1%程度。無料アプリの場合、ダウンロード翌日には20%程度に落ち込む。AdWhirlの報告書は無料アプリでも大きな収入を得られる可能性を示しているものの、成功の前にはユーザーに長く使用してもらえるアプリの提供という難関が存在する。