同社はまた引き続きAPMをそのまま利用しているとしている(Photo11)。APM(Automated Precision Manufactureing)はAMDが自社の生産管理に利用したシステムである。その詳細はこちらの記事を読んで頂くのが早いが、生産の管理精度を上げるための手法や、それを支えるソフトウェアである。これを開発しているのがAustinにあるADC(ADVANCE Development Center)である。このADCとはどんなところか、というのは例えばこちらを見ていただくのが早いだろう。これを利用する事により、以前よりもYieldをすばやく向上できるようになった、というのが氏のメッセージであった(Photo12)。

Photo11: 単なるAPC(Automated Process Control)ではない、というあたりが強く主張されている。

Photo12: Doran氏は45nm SOIの立ち上がりの早さを強調していたが、筆者からするとむしろ130nm SOIとか90nm SOIの立ち上がりの遅さに目が点である。確かに最初のAthlon 64は全然性能が上がらなかったし、90nm SOIも最初のロットは「消費電力こそ低いが動作周波数も上がらない」のがうなづけるというものだ。

続いて説明に立ったJim Kupec氏(Photo13)が、共同開発体制について説明した。45nmや32nmに関し、IBMは非常に多数のAllianceを構成して共同開発体制をとる事で、開発費の負担を軽減しながら先端プロセスを利用できるようにしている。45nmや32nmについては、ほぼIntel以外の殆どのベンダーが何らかのAllianceに属しており(Photo14)、同社もこの枠の中に入る形になる。同社はAMDのポジションを引き継ぐ形でR&D Allianceに参加をしており(Photo15)、またEDAベンダーやIP SupplierとのEco Systemを形成することでAMD以外のクライアントを獲得したい意向だ(Photo16)。

Photo13: 今月18日に入社したばかりである、Senior Vice President of Sales and MarketingのJim Kupec氏。前職はUMC AmericaのPresidentであった。

Photo14: これと先ほどのPhoto03を見比べると判りやすい。先端プロセスのファウンダリを維持しつつ、アライアンスに加盟していないのは、今のところIntelと富士通のみとなっている(厳密に言えばTIもそうだが、ここは45nmで打ち止めにしてしまったので、その先はFablessという扱いになる)。

Photo15: 以前はCharteredがAMDの提携パートナーとして入っていた訳だが、現時点ではGLOBALFOUNDRIESとCharteredは単なるライバルになってしまっているだけに、ちょっと微妙な感じ。もっともこれは研究開発のAllianceだから、これでもいいのかもしれないが。

Photo16: ARMは言うまでもなくCPUやその周辺回路のIPを提供するサプライヤーであるが、端的に言えばARMのポリシーは「ファウンダリとは押しなべて仲良くする」だから、ここに入っているのは不思議ではないし、逆に入っていたからといって直ぐにGLOBALFOUNDRIESがARMベースの製品を出すとは思えない。まぁ長期的には、ARMも重要なファクターになるだろうが。

最後に再びたDouglas Grose氏が登場し、今後も先端プロセスや製造能力拡充に合計60億ドルを投資することをあらためて確認して発表会は終了した。

Photo17: この60億ドルの大半はアメリカ国内(Fab2の建設や、先端プロセスの開発)で消費されるわけで、このあたりは32nmのFabを全てアメリカ国内に建設すると発表したIntelとあまり事情は変わらない。