クレオから6日にリリースされた「パーソナル編集長Ver.8」は、新聞やチラシ、小冊子など、さまざまな印刷物を作成できるDTPソフト。新バージョンでは、ユーザーインタフェースが一新されたほか、画像を自由に切り抜く機能やグラフ作成ツール、手書きツールなどが搭載され、長尺印刷や拡大縮小分割印刷に対応した。本稿では、新機能を中心に「パーソナル編集長Ver.8」を試してみる

「パーソナル編集長 Ver.8」の画面

「パーソナル編集長 Ver.8」

対応OS Windows 2000(SP4) / XP / Vista
必要メモリ Windows 2000:64MB以上必要(96MB以上推奨) / XP:128MB以上 / Vista:1GB以上必要 (Home Basicの場合は512MB以上必要)
HDD空き容量 フルインストール800MB以上 / 最小インストール400MB
標準価格 17,640円

画像の切り抜きと輪郭に沿った回り込みが可能に

まずは、「画像切抜きツール」を紹介しよう。この機能では、「パーソナル編集長」内に画像を切り抜くための設定画面が用意され、フォトレタッチソフトを使うことなく、好きな形で画像を切り抜ける。切り抜き方法は3つ。1つめは、指定した形で切り抜く「型抜き」。爆発マークや星形、ハートマーク、矢印など、全部で35種類の抜き型が用意されている。

「型抜き」の画面

2つめは、選択した範囲を切り取る「範囲を切取」。輪郭を自動検出する「自動トレース選択」、ドラッグ操作で自由な形を指定できる「フリートレース選択」、同系色の領域を選択する「同色選択」四角形の選択範囲を作る「矩形選択」、円形の選択範囲を作る「楕円選択」と、フォトレタッチソフトの選択ツールをイメージした5つのツールが用意されている。

「範囲を切取」の画面

3つめは、不要なエリアをドラッグ操作で消す「消しゴム」。結果的に、必要な部分を残して切り抜くことができる。使い分けとしては、写真を決まった形で切り抜きたいときは「型抜き」、被写体の輪郭など自由な形で切り抜きたいときは「範囲を切取」か、あるいは「消しゴム」が選択肢となる。

「消しゴム」の画面

画像切り抜き機能の搭載にあわせて、テキストの回り込み機能も強化。切り抜いた画像に沿って、テキストを流し込めるようになっている。

輪郭にそってテキストを流し込むことも可能

グラフ作成ツールと手書きツールを搭載

さらに、「パーソナル編集長」内でグラフを作成する機能も加わった。イメージ枠を作り、[ツール]メニュー → [イメージ枠編集ツール] →[グラフ作成]を選ぶと、グラフの各種設定を行う画面が表示される。作成できるグラフの種類は、棒グラフ・円グラフ・帯グラフ・折れ線グラフの4つ。グラフデータは、設定画面に直接入力するか、もしくはCSVファイルから読み込む方法が用意されている。

グラフ作成ツール(円グラフ)

グラフ作成ツール(棒グラフ)

また、「手書きツール」により、手書き風の文字やイラストを描いて、紙面に配置できるようになった。対応しているのはワコム社のペンタブレットで、ペン先の太さは5種類。色は自由に選択できる。

手書きツールを使って、手書き風の文字やイラストが描ける

一新されたインタフェース

インタフェースも一新された。これまでアプリケーションウィンドウの左右に分かれていたツール類を再構成し、上部のツールバーに「開く」や「保存」、「印刷」などのファイル管理系ボタン、画面左のガイドメニューに枠や文字を編集するツールがまとめられた。ガイドメニューは用途別にグループ化され、従来のアイコン表示からアイコン+テキスト表示となり、初めて「パーソナル編集長」を使うユーザーでも、目的のツールをすばやく探せるようになっている。

画面左にガイドメニューが分類され、目的のツールが探しやすくなった

長尺印刷や拡大縮小分割印刷にも対応

出力関連では、垂れ幕や横断幕の作成時に使う長尺印刷に対応した。A3・A4プリンタで長尺の印刷物を出力する場合は、複数の用紙に分割して印刷することもできる。印刷したい用紙サイズにあわせてドキュメント全体を拡大または縮小して印刷することも可能だ。PDF出力にも対応しており、作成したデータを他の人に見てもらったり、ウェブページで表示したりするといった用途にも使用できる。

長尺印刷や拡大縮小分割印刷の設定が可能に

その他の新機能としては、同じくクレオから発売されている地図ソフト「プロアトラス」の地図データから必要な部分を切り出し、直接貼り付ける機能が搭載された。チラシや新聞紙面に案内図を載せたいときに重宝する。なお、この機能を利用するには、別売の「プロアトラスSV2/SV3/SV4」が必要だ。また、新聞や一般紙で多用されているフォント「イワタ新聞ゴシック体」を収録。前バージョンより収録となった「イワタ新聞明朝体」とあわせて、より本格的な紙面作りが行える。新機能ではないが、「パーソナル編集長」ではスポーツ新聞の大見出しに使われる「三重袋文字」の作成も可能で、プロ仕様のタイトルが手軽に作れるのも楽しい。

イワタ新聞ゴシック体を搭載

オープニングメニューからテンプレートの種類を選択する

テンプレートを使って、印刷物を手早く作成できる

「パーソナル編集長」は、比較的安価で使い勝手が良く、初心者でも気軽に利用できる。グリッドやガイド、数値による位置指定を使って、ミリ単位のレイアウト調整も可能。新聞用、チラシ用、冊子用のテンプレートが豊富に用意されているので、グラフィカルな印刷物をすばやく作成できるのもうれしい。個人、団体または会社でこのような印刷物を作る機会の多い人に、ぜひおすすめしたいソフトだ。