今日の成功を支えるイノベーション

前述のような成果を収め、数々の賞を獲得してきたSalesforce.comだが、当然のことながら当初からすべてがうまくいったわけではない。今日の結果を残せているのは、「イノベーションを大事にしてきたから」(Sumner氏)だという。

同社では、現在提供中の「Winter '09」までに、「9年間で27回のメジャーリリース」を実施。パフォーマンス、安定性、セキュリティの3項目には特に力を注いでいる。

なかでも、レスポンスについては、「契約者数の増加に比例してトランザクションが急増しているにもかかわらず、ページレスポンスは低減している」(Sumner氏)と言い、現在はトランザクション数が四半期で10億を超えるにもかかわらず、レスポンスを150ミリ秒程度に抑えている。

Salesforce.comのトランザクションとパフォーマンスの推移

こうした努力の結果、「Salesforce CRMは顧客満足度95%という数字を残している。知人に勧めたいという人も95%に上り、ユーザーの72%がすでに知人に勧めている」(Sumner氏)というほど支持を得ている。

プラットフォームの利便性を高めるために

Sumner氏は、次世代アプリケーションプラットフォームの1つとして「force.com」を挙げる。

force.comは、Salesforce CRMなどの同社製アプリケーションが動作するプラットフォームだが、アプリケーションを切り離したクラウドプラットフォームとしても提供されている。ユーザー企業やISVがforce.com上に独自アプリケーションを構築して運用/販売することが可能だ。

「AppExchange」と呼ばれる業務アプリケーションのマーケットプレイスも用意されており、そこには同社製アプリケーションに加えて、ISVの手によるネイティブアプリケーションも登録されている。ネイティブアプリケーションの数はすでに50以上を超えている。

また、Salesforce.comでは、force.comの"クラウドプラットフォームとしての利便性"を高めるために、他社サービス/プラットフォームと積極的に提携を進めており、すでに「Amazon Web Services」や「Google Apps」、「facebook」との連携が可能なことを公式に発表している。氏は、8日に発表されたばかりの「Force.com for Google App Engine」などに触れ、開かれたプラットフォームであることをアピール。さらに、force.comは、「ユーザーでも顧客でも拡張することが可能で、インターネット上のサービスもイントラネット上のサービスも取り込むことができる」と続けた。

Force.comとGoogleの関係

Sumner氏は最後に、force.comのアプリケーション開発者向けコミュニティ「developer.force.com」を紹介。10万人以上が参加していることを明かしたうえで、「日本の開発者にもぜひ参加してほしい」とコメントし、force.comの活用を促した。