オープンソースにすることでどのようなメリットがあるのだろうか。「イノベーションの速度を加速できる」とRivas氏。ハードウェアベンダの立場として、TIのGunn氏は、「これまで投資してきた資産を保護できる。TIでは、ハードウェアの提供だけではなく統合、検証にフォーカスしており、Symbian Foundationによりタイムツーマーケットを縮小できる。最適化にも活用でき、顧客はユーザーエクスペリエンスやパフォーマンスを改善できる。飛躍的な効率化が図れる」と賞賛する。
パネル全員は、オープンソース化を能力主義(メリトクラシー)という。ビジネスモデルが変わるが、サービス事業者にはどのような影響を与えるのだろうか? TIのGunn氏は、技術コンサルティングサービスなどサードパーティの余地は十分にあるという。
競合関係にある企業が参加することになるが、リスクはないのだろうか。「誰もやっていなかったこと」とNokiaのRivas氏。モバイル業界、オープンソース業界のどちらからみても最大規模の取り組みになる。「チャレンジだが、参加企業は挑戦しようと結集した」と語る。
文化の変化は必要だ。とくにUIはこれまで、各社にとって重要な企業秘密だった部分だが、Sony EricssonのOlsson氏は、「コモディティ部分では協調し、差別化で競争するという考え方が必要」と述べる。
他のOSとの競合については、TIのGunn氏が「成熟、完全性」と言う。Sony EricssonのOlsson氏は、「価値と開発者コミュニティ」と付け加える。これらをまとめて、Nokia「隠れたコストは一切ない。オープン/無料と成熟の両方を実現するのは、Symbian Foundationだけだ」と胸を張る。
Symbian Foundation設立にあたって、まずNokiaがSymbianを買収することになっている。Nokiaによると、Symbian買収は年内の予定で、規制当局の承認を得る必要がある。Rivas氏は、来年前半にはFoundationが立ち上がり、メンバー企業はソースコードを無料で利用できるとしている。今年6月の発表からこれまで、コミュニティが直接参画できる組織作りに向け計画を詰めているとRivas氏は述べた。Symbianの社員はまず、Nokiaの社員になり、Symbian Foundationを立ち上げていくことになっている。
組織運営にあたっては、共通のフォーカス、目標を持って参加することで、分断化を防ぎつつイノベーションを加速していきたいという。「プラットフォームのバリューが分断化を防ぐ」とRivas氏。SymbianのDavid氏は、「予定通りにリリースすることで、信頼できる、予言できるオープンソース技術を提供する」と続ける。
Symbianは開発者にフォーカスしており、今年のSmartphone Showでは開発者向けセッションが大幅に増えている。21日は、開発者向けの無料ツール「Symbian Analysis Workbench(SAW)」も発表している。
SAWはEclipseをベースとし、Symbian C++コードのパフォーマンスを分析することで最適化できるツール。これにより、開発者は開発や最適化作業を短縮できるとしている。SAWは開発者向けサイト「Symbian Developer Network」より無料でダウンロードできる。
Symbianはまた、ARMとともに「ARM Profiler for Symbian OS」も発表している。ARMの開発者向けソフトウェア「RealView Development Suite 4.0」の一部で、ボトルネックを容易に発見し、最適化できるという。