では、S60の強みはなにか。
S60は現在、スマートフォン市場の46.6%を占めており、2台に1台のスマートフォンがS60ベースということになる(写真参照)。現在、Nokiaのほか、韓Samsung、韓LG、中国LenovoらがS60をライセンスしており、S60を搭載した端末は1億5,000万台以上出荷されているという。オペレータは200以上。S60上で動くアプリケーションは6,000種類以上あるという。
これまでの成功の理由について、Rivas氏は、幅広い技術を統合してきたこと、新しい技術と容易に統合できる点などを挙げる。
今後、S60とSymbianをオープンにしていくが、Nokiaはこの戦略の成功を確信しているようだ。「モバイルは新しい時代に入りつつあり、イノベーションはアプリケーションやサービスのレイヤで起こる。Nokiaの戦略は、S60とSymbianをその基盤としていくこと。そのために、さまざまな技術を統合し、前バージョンとの互換性を確保するプラットフォームを提供していく。開発期間の削減、投資保護などのメリットを提供することで、できるだけ多くの端末に採用してもらえると確信している」とRivas氏。
競合他社に対する強みは、実績だ。Symbianは10年の、S60は5年の歴史を持ち、すでに幅広い端末が採用していることが証明となる。複雑なOSを最新のハードウェアで動かすことは難しく、モバイル市場進出は簡単なことではない。実績あるプラットフォームをオープンにして全員に利用できるようにすることで、実績をさらに増やしていくという。
そこで、幅広い開発者にアピールするよう、C++に加え、Open C/C++、HTML、Java、Python、Ruby、Flash、Silverlight、Ajax、JavaScriptとWebランタイムを含めた広範な技術をサポートした。HTMLやCSSなど既存のWeb技術に慣れ親しんだ開発者は、開発ツールを利用してWeb環境だけでなく、モバイル端末上のスタンダロンアプリケーションも開発できる。これまでのハードコア開発者からWeb開発者まで、幅広い開発者に参加を促していくという。「加えて、開発者が携帯電話に期待するあらゆる機能にアクセス可能。これらはS60の最大の強みだ」(Rivas氏)
「モバイルOS業界は激動しており、Symbian Foudationは、NokiaおよびNTTドコモやAT&Tら創業企業が業界が次のステップに進めるよう支援しようというメッセージだ」とRivas氏。
Symbian Foundationは、S60のほか、Symbianのプラットフォーム技術「UIQ」「MOAP」も統合していく。これは、Symbianの断片化を防ぐことにもつながる。「コード量、実装端末数の2つで最大のオープンソースコミュニティになる」とRivas氏。シェアは65 - 70%に達するという。
Symbian Foundationは非営利団体で、独立した形で機能する。現在、参加者数は40社。この中には、モバイル業界の主要企業が多く見られる。