デジタルマックスのブースでの「Live Book Master」のデモ

昨今、紙メディアのカタログからデジタル化への風潮がある。そんな中、CEATEC JAPAN 2008のデジタルマックスのブースでもデジタルカタログが出展されていたが、デジタルマックスのWebカタログを制作するオーサリングソフトウェア「Live Book Master」はひと味違った。基本となるエンジンはFlashベースだが、ページをめくりしばらくすると写真に映し出されていた人物が写真の世界から飛び出し、自己紹介やプレゼンテーションをするではないか!

単に動画機能もあるだけではなく、カタログの登場人物がそのまま動き出すというのは、技術的にも大変な苦労があったのではないだろうか(特別に撮影した動画を埋め込んだものなのだそう)。そこでデジタルマックスの野村さんに、そのあたりをストレートに聴いてみた。

基本は紙のレイアウトデータが必要

実際に「Live Book Master」を触らせていただきながら話を伺い、筆者なりに肝要であると感じたポイントを列挙しよう。

紙の印刷データが必要

この点については、どのデジタルカタログサービスでも同様に必要だ。故に新鮮さはないが無駄な資源を消費せず、エコロジーの観点から鑑みれば無駄に印刷してしまい廃棄する、などということが防げるのは地球に優しい。また、余計なコストをかける必要もないため、企業にとっても優しいと言えるだろう。

豊富な機能

「Live Book Master」に実際に触れることもできた

今やデジタルカタログでは当たり前となった「ページめくり機能」はもちろん、見たい部分を段階的に拡大表示が可能な「拡大/縮小機能(画像補正機能付)」は、拡大しても画質を落とすことなく最大1000%まで拡大できるのは興味深い。「リンク機能」は、ひとつずつの個別リンクはもちろん、ドラッグ操作なしに連続追加が可能。独自にデザインされたリンクイメージの貼付け、選択範囲にリンクを付けることができる。「印刷」に関しても見開き、左/右ページの3パターンから選択して印刷することが可能。

まだまだある。「付箋機能」や「メモ帳機能」なども他製品では保存ができないものが多いなか、「Live Book Master」ではローカル上に保存することが可能なのだ。そのほか、目的のページまで一気にページをめくることができる「インデックス機能」など、ここまで豊富に用意されているのはユーザーにとってありがたいかぎり。加えて、好みのユーザーインタフェースに変更ができるなど、柔軟なデザインへの対応・保存が行え、動画を挿入することも可能だというから、利用の仕方によっては紙カタログ以上のプレゼンスを発揮するのではないだろうか。

こちらはパナソニックで実際に「Live Book Master」を導入した例。膨大なカタログデータは紙に印刷するとスペースも重さもありいつしかホコリがかぶって……というところだが、デジタル化した恩恵はスペースレスに留まらず、特定の顧客向けにオリジナルのプレゼンテーション用資料を作成する、といった活用も可能なのだそう

こちらは同社製品の「Webカタログ」で得られるCRM情報の一部

グラフィカルにどのページがもっとも見られたか、どの部分をどれだけ拡大したか、など詳細なデータを収集することが可能

オリジナリティある訴求がしたいなら「Live Book Master」もひとつの手段

筆者は、かつて雑誌編集者だった。紙や雑誌が持つ独特の温もりと懐かしさ、刷りたてのインクの匂いが好きだ。だからこそ陽の目を見ず廃棄されていく印刷物がかわいそうで仕方ない。無駄に紙を消費するよりは、今回CEATEC JAPAN 2008に出展されていた「Live Book Master」のようなデジタルメディアで配布するのがいいのではなかろうか。エコを叫ぶのであれば、こういった側面からエコロジーにアプローチする方法もある。時と場合によって紙とデジタルとを使い分ける必要が、今後一層増していくのではないだろうか。