「Pencil」で「ソコソコそれらしきモックアップが作成できる」こと

前述した「ソコソコそれらしきモックアップが作成できる」という言葉からはネガティブな捉え方をされてしまうかもしれないが、これは決して「Pencil」を侮辱しているのではない。むしろ、この曖昧さが実際の制作現場では必要だったりするのだ。クライアントの意図が明確な場合、Adobe Photoshopなどでカッチリと決め込んだ精緻なモックアップの方がいいだろう。

ただクライアントの意思が明確ではない場合、作り込んだモックアップを持参しても「う~ん、イメージと違うなぁ」と明確な理由もなくボツを出される可能性が高い場合、ミーティングの現場で一緒になって考えて煮詰めていくというのもひとつの手段だ。後者の場合、ボツが出されてしまってはモックアップを作り込んだ時間が無駄になるわけで、時間も人的コストもそれに付随するお金だってもったいない。

それが「Pencil」であれば、用意されたパーツをドラッグ&ドロップでいともたやすく基本デザインを決め込むことができ、無駄を排除しながら制作していくことができるというわけだ。それに、「これはモックアップだから写真や色味、文言はダミーですからね」と伝えても、「写真差し替えて」「色はもう少し爽やかな色に」など細部を見てしまう方が多いと感じる。それ故、「基本的なブロックの構造はこうですよ」「メニューはここに配置しますからね」など、多少アバウトなモックアップの方が便利な場合もあるのだ。

余計な制作費をかけることもなく、FirefoxというWebブラウザでモックアップが作成できるのは、サイト制作に関わる人間にとって大変に魅力だ。この「Pencil」を使いこなせば制作工数圧縮、特に「ヒアリング~モックアップ作成~デザイン決め込み」での工数短縮が見込めるだろう。Webサイト制作関係者の方はチェックされてみては如何だろうか。