下手な歴史小説より面白い!? キャラが立っているシナリオモード

もちろん1人用のモードもある。織田信長、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗の4人にシナリオモードが用意されており、特定勢力の撃破や特定マスの支配など、マップごとに設定された勝利条件を満たしながらストーリーを進めていく。いわゆるキャンペーンモードだといえばわかりやすいだろうか。人間相手で、やるかやられるかの対戦と比べると、こちらは勝利のための最善手を追求する詰将棋のような感覚である。もっとも、相手の動きは常に一定というわけではないため、ある程度のアドリブが必要になり、そこには対戦のような緊張感もある。

だが、それよりも注目してほしいのがシナリオで語られるストーリー。古き秩序を破壊し新しい天下を創造しようと覇道を突き進む信長、人々の信頼を得ることで秩序を回復させ天下に王道を敷こうとする信玄など、基本的な人物像は史実に基づいている。しかしながら、デフォルメするところは大胆にデフォルメされた登場人物たちが、実に生き生きと活躍してくれる。特に織田信長シナリオの序盤、信長と、いわゆる「爺や」的な立場の人物、平手政秀とのエピソードは必見。結末は史実通りなのに、非常に大胆な新解釈が採用され、より感動的なシーンになっているのだ。もちろん、武田信玄や上杉謙信などが登場するシナリオも負けてはいない。ストーリーの先が見たいからシナリオを遊ぶ。本作は、そんなプレイの仕方でも十分に楽しめる。

一般的には信長の奇行を諌めるために自害したといわれている平手政秀。だが本作では、深謀遠慮が隠されていたと語られる

信長包囲網の総仕上げとして上洛に取りかかる武田信玄。史実ではこの直後に病死するが、信玄シナリオでは彼が築き上げる天下を見ることができる

コマの育成や収集など、やり込み要素も充実

本作に登場するコマは、対戦、1人用を問わず、使用することで経験値を獲得し、一定値を超えるとレベルアップする。レベルが上がると戦闘を有利にする特技の発動率が上がるなど、コマがより強力になっていく。つまり、愛用のコマを使い続けることで、自分のお気に入りの軍団を強化できるのだ。

また、1ゲームを終了する際に得られるポイント(名声)を消費し、新しいコマを入手することもできる。ここで入手したコマはどのシナリオや勢力でも出撃可能で、特に対戦で重要な意味を持つ。このように、RPG的な育成とカードゲーム的な収集の両方が楽しめるので、1人でチマチマとやり込む要素にも事欠かないのだ。

獲得できるコマは150種類以上。必要名声に3段階あり、高価なものほど戦力の高いコマを獲得しやすくなっている

ネット対戦ができる体験版も公開中! 是非お試しを

以上、本作のポイントを駆け足で解説してきたが、やはり、未プレイの人に一度でいいから触ってみてほしいと思うのは「対戦」だ。とっつきやすいルールと適度な奥の深さを両立できているシステムは対戦ゲームの理想である、と言ったら褒めすぎだろうか。少なくとも『国盗り頭脳バトル』という名に偽りはない。現在、公式ホームページでは、パソコン(Windows)上で動作する体験版をダウンロードできる。なんと、体験版でもネットを介した対戦が可能になっているので、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度触れてみてほしい。そしてWi-Fiという名の戦国時代に身を投じてみませんか?

ゲームタイトル 国盗り頭脳バトル 信長の野望
メーカー コーエー
対応機種 ニンテンドーDS
ジャンル 波瀾盤上ストラテジー
発売日 6月26日 (発売中)
価格 5,040円
CEROレーティング A (全年齢対象)
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