世界中に普及している携帯電話は、小型だが立派な電気製品だ。買換え後の扱いについても他の製品と変わりはなく、ごみとして出すと有害だが、希少金属が使われているため再利用価値は非常に高い。にもかかわらず、使わなくなった携帯電話の多くはそのまま放置されており、リサイクルにまわす人はわずか3%という――携帯電話メーカーのフィンランドNokiaが8日(現地時間)、このような調査結果を発表した。

Nokiaはドイツ、中国、米国、アラブ首長国連邦など13カ国、6500人の消費者を対象に、携帯電話の再利用に関する調査を行った。

それによると、1人がこれまでに所有した携帯電話台数は平均5台だった。だが、使わなくなった携帯電話について、「リサイクルにまわした」と回答した人はわずか3%。「ごみとして捨てた」という人も4%と少なく、主流を占めたのは「そのまま放置している」で44%だった。「家族や友人にあげた」という人は約25%で、16%が「途上国市場などで売った」と述べたという。

携帯電話のリサイクルが進んでいない原因は、消費者が、携帯電話はリサイクル可能な製品であるということを知らない点にありそうだ。回答者の74%が、自分の携帯電話をリサイクルすることを「考えたことがない」と述べた。携帯電話がリサイクル可能であることを「知らなかった」と回答した人は約半分。ただし、これについては、英国は80%、インドは17%と、国により差があった。

だが、環境への配慮には地域差が少なく、平均72%がリサイクルは環境によいと回答していることから、携帯電話のリサイクルの課題は認知啓蒙にあるといえそうだ。

Nokiaによると、Nokia製携帯電話の場合、65~80%がリサイクル可能で、端末に利用されている希少金属は、ヤカン、公園のベンチ、歯科充填材のほか、サックスなどの金管楽器にも再利用できるという。プラスティックなど再利用不可能な部分は、燃焼することでリサイクルプロセスに必要なエネルギーとなり、その他の素材は砕いて建築物の素材や道路などに利用できる。これにより、ゴミになる部分は残らないという。

Nokiaは2007年12月に環境への取り組みを強化しており、梱包などのほか、充電完了時に電源供給を自動停止する充電装置、エコ端末「Nokia 3110 Evolve」なども発表している。

Nokiaは現在世界85カ国のNokiaの販売店などで、携帯電話の回収を行っている。今回の調査結果を受け、今後携帯電話のリサイクルに関するキャンペーンなどを展開していく予定という。