COMPUTEX TAIPEI 2008の電源メーカー各社ブースの展示を紹介しよう。ここ数年、電源は最大容量を競ってきた。しかし今年は大容量はもちろんだが、変換効率や品質面での付加価値を模索しているように映った。

電源の変換効率の高さを示す指標として、「80 PLUS」という認証がある。80%以上の変換効率を持つ製品に与えられるのが「80 PLUS BRONZE」であるが、さらに変換効率の高い製品に与えられるのが「80 PLUS SILVER」。80 PLUS SILVERは、50%出力時に88%以上の変換効率、20%および100%出力時に85%以上の変換効率を持つ製品に付与されるもの(CoolerMaster)で、その第1弾製品になるというのがCoolerMasterの「UCP(Ultimate Circuit Protection) Series 900W」。UPC Series 900WはAC-DCの変換に特徴を持つ。ACラインからまず全て12Vへと変換した後、12Vから5Vと3.3Vを生成するとされている。一般的な電源では、ACラインから12/5/3.3Vの各出力を同時に変換する。UCP 900Wでは変換効率が88%とされているが、そのヒミツはここにあると同社は説明している。なお、http://www.80plus.org/で確認してみると、CoolerMasterのほか、ENERMAXが2製品、そしてDELL、NXPがSILVERの認証を受けているようだ。また、80 PLUS BRONZE、80 PLUS SILVERのほか、20%・100%出力時に87%以上の変換効率で50%出力時に90%以上の変換効率を実現した製品向けに「80 PLUS GOLD」も用意しているが、こちらはまだ認証された製品が出ていない。

世界初と書かれた80 PLUS SILVERロゴを掲げるCoolerMaster

80 PLUS SILVERロゴを取得した最初の製品となるUCP Series 900W

こちらは80 PLUS BLONZEロゴの1100W製品だが、2台のSLIシステムを同時に動作させるデモ

CoolerMasterブースで紹介された現在開発中のケース。シンプルな外観ながら肉厚のあるアルミ素材を用いたハイエンド向け製品

「80 PLUS SILVER」に"Ready"としていたのがAcBelの「R88 Power」シリーズ。製品の説明では、こちらも一度12Vに変換した後に5Vと3.3Vを生成しているように読める。そのほか日本製固体コンデンサの採用などを特徴としている。

AcBelの「R88 Power」シリーズも「80 PLUS SILVER」に"Ready"とうたっている

こちらがR88の製品。ケーブルは直付けだが奥行きは比較的短め

これら「80 PLUS SILVER」認証をアピールしてはいないものの、変換効率の高さをデモしていたのがENERMAX。ENERMAXの製品は「82+」となっていたが、出力625Wのモジュールケーブル式電源「MODU 82+」を用い、4基のクアッドOpteronに16枚のメモリ、16基のHDDなどを接続したサーバ構成を動作デモ。また、出力625Wのケーブル直付け式電源「PRO 82+」を用い、Athlon FX-74×2基、GeForce 9800 GX2×2基にWD Raptorというゲーマー構成の動作デモも行っていた。モジュール式のMODO 82+シリーズでは、モジュラーケーブルのコネクタに12ピンを利用している。スタッフによると、将来より消費電力が多いグラフィックスカードやマザーボードなどが登場した際に備えているとのこと。そのほか20%以下の低出力時にファンの回転数を450rpmに抑える「AirGuard」静音機能なども搭載している。基本的に実際の製品選びでは余裕のある電源容量を選びたいが、こうした変換効率の高さを示すデモも興味深いものがある。

4基のクアッドOpteronに16枚のメモリ、16基のHDDなどを接続したサーバ構成を625W電源でデモ

Athlon FX-74×2基、GeForce 9800 GX2×2基にWD Raptorというゲーマー構成も625W電源でデモ

ゲーマー向けの製品で特徴的なのがOCZの製品。12Vラインの出力を微調整可能なNVIDIA ESA対応電源を2製品展示していた。TURBO-COOLシリーズの製品で、容量は1200Wと860W。1200Wの製品には4個の回転ボリューム抵抗、860Wの製品には3個のロータリースイッチが搭載されていた。なお、1200W製品の回転ボリューム抵抗はまだデザインが決まっていないとのこと。

ESAに対応した2製品では、12Vラインを微調整できるボリュームを搭載

そのほかの同社電源製品ラインアップ。ESAやSLIなどへの対応をうたう大容量製品がメインだ

Thermaltake製電源では、最大2000Wまでラインアップするとともに、本体側面にステータスを表すLEDを装備した最上位シリーズ「Toughpower XT」が国内でも販売予定とのこと。スタンバイや温度異常などを検知するとここが点灯するメカニズムを搭載している。そのほか、スリット形状やファンなど、究極の静音にこだわったという「TR2 QFan」シリーズはより大容量な750W、850W、1000Wモデルを投入予定。NVIDIA ESAに対応した「Toughpower ESA」の850Wモデルなどがも展示されていた。

大容量電源Toughpower XT 2000Wの本体横には3つのLEDを装備

スリット形状やファンなど、静音志向のTR2 QFanシリーズ

そのほかThermaltakeの電源ラインアップ