日本シーゲイトは、米Seagateよりコンシューマ・ソリューション部門 ビジネス&マーケティング・ディベロプメント・ディレクター ロブ・ペイト氏を招き、同社のコンシューマエレクトロニクス分野への取り組みを説明した。

今回、ペイト氏が説明を行ったのは、同社ラボで開発中の器機のうち、「D.A.V.E.プラットフォーム」「Showcase メディア・ストレージ」「iVDR Strong」の3点。

シーゲイト・テクノロジー コンシューマ・ソリューション部門 ビジネス&マーケティング・ディベロプメント・ディレクター ロブ・ペイト氏

シーゲイト・ラボから、製品に近い段階まで開発が進んだものを3つ紹介

HDDとWi-Fi機能を搭載したポータブル端末「D.A.V.E.」

D.A.V.E.は昨年すでに発表済みであるが、今回は実際の動作デモが行われている。D.A.V.E.はHDDとWi-Fi機能を搭載したポータブル端末。Wi-Fiを通じてパーソナルなWebサーバ、メディアサーバとしてふるまい、Wi-Fi対応機器との間でデータの視聴や同期が可能だ。ペイト氏は、おもむろにカメラ(携帯電話)を取り出し、取材陣をパチリ。このカメラにはWi-Fi機能が搭載されており、Wi-Fi経由で撮影画像をD.A.V.E.に転送、そしてiPod touchからその撮影画像を閲覧してみせた。

D.A.V.E.を手にするペイト氏。極小サイズのポータブルHDD+メディアサーバとして機能する

右手のカメラからD.A.V.E.を通じ、左手のiPod touchに撮影画像を表示。D.A.V.E.自体はバッグの中にでも放り込んでおけばよいという手軽さ

現在のD.A.V.E.は60GBの1.8インチHDDを搭載している。また、外部デバイスとの接続インタフェースは、USB 2.0、IEEE802.11b/g、Bluetooth 2.0。D.A.V.E.はDLNAにも対応しているとのことで、家庭内のデジタル器機と、屋外で利用する車や携帯デバイスなど幅広い機器との間で、デジタルデータの橋渡しを行う。

ポータブル用途のD.A.V.E.は1.5mからコンクリートへの落下にも耐える耐衝撃性も備える

D.A.V.E.の概略図。家庭内のデジタル機器と屋外で利用するデバイスとの間でデータの橋渡しとなる

HDビデオ保存のための外部ストレージ「Showcase」

Showcaseは、セットトップボックス(STB)やデジタルビデオレコーダーなど、HDビデオ保存のための外部ストレージ。同氏によると、STBやデジタルビデオレコーダーでは、eSATAが普及し始めているとのこと。Showcaseも、eSATAおよびUSB 2.0インタフェースを備え、これら器機に接続可能としている。また、PC向け外付けHDDとは異なり、29dBの低ノイズ設計、周辺温度45度までの高耐熱性を取り入れつつ、AVキャビネット向けのスタイリッシュなデザインを実現している。容量ラインアップは250GB、500GB、750GB。将来的にはTBクラスの製品も追加予定としている。

Showcaseを手にするペイト氏。外付けHDDとしてはやや大きめのきょう体は、CE向けとしての静音や耐熱といった設計から

Showcaseの仕様。eSATAやUSB 2.0というSTBで一般的に用いられているインタフェースを採用したとのこと。国内ではHDDを追加できるレコーダー自体が希であるのが課題といえば課題

底面側には冷却用ファンを搭載していると見られる

Showcase(左)と、そのデモに用いられた加MoneualのI*magineというMedia Center PC製品。ShowcaseはUSB 2.0も採用しているため、PCとも容易に接続可能だ

堅牢性を高めた「iVDR Strong」

iVDR Strongは、現行のiVDRに対し、堅牢性を追加したものとなる。同氏によれば、現在のiVDRには落下・衝撃に対する仕様はないが、iVDR Strongは外装をより厚く、内部HDDをサスペンション構造でマウントするなど改良しているとのこと。結果、iVDR Strongは1.2mの高さからコンクリートへの落下に耐えるとしている。このiVDR Strongという規格は5月のiVDRコンソーシアム全体会議で承認される見込みという。カートリッジ形状にはiVDRとの互換性がないものの、クレードルに関してはiVDRとiVDR Strong双方に対応するものが提唱されている。また、家庭内での映像データ保存だけでなく、プロ用デジタルカムコーダー向けとしても検討されており、そうした分野で利用率の高いMac環境に対応するためFireWire 800にも対応する。容量ラインアップは160GBと250GBの2つが用意されている。

iVDR Strongのクレードル(右手)とカートリッジ(左手)

手前が現行、奥がiVDR StrongのiVDRカートリッジとクレードル。カートリッジサイズが大きく異なって見えるのは、現行iVDRが1.8インチタイプ、Strongが2.5インチタイプを使用しているため

iVDR Strongでは、耐衝撃などよりポータブルを意識した規格になる見込み

今回デモンストレーションされた3製品は、基本的にはSeagateブランドとして展開するモノではなく(可能性を否定してはいないが)、OEMメーカーが独自にカスタマイズして展開することを想定しているとのこと。ペイト氏は、「デジタルコンテンツのダウンロードや保存は今やライフスタイルとして定着しつつある。これらコンテンツの保存、持ち歩き、そして保護に対し、シーゲイトは消費者のこうしたニーズを手助けしていく」としている。