ダイアローグ・ジャパンの「FlyBook V5-KDDI Inside model」

180度回転できるタッチパネル式ディスプレイを搭載したB5サイズのミニノート、「FlyBook」の新シリーズである。最大のポイントは、KDDIのWAN通信モジュールを内蔵し、携帯の通じるエリアならどこでも通信を行えること。加えてCPUにはCore 2 Duo U7600を搭載し、Windows Vistaもサクサク動作する。メインマシン並みの処理能力が必要なユーザーは気になっている人も多いはず。

タッチパネル機能を搭載した8.9型ワイド液晶。180度回転し、タブレットPCにもなる。液晶上部には215度回転できる130万画素のWEBカメラも搭載される

液晶下部にあるインジケーター。ディスクアクセスや通信状態をひとめで見ることができて便利

FlyBookといえば、ヨーロッパ風味のこだわったデザインが特徴のミニノートだ。マグネシウム合金ボディは、非常にがっしりとした印象を受ける。印象だけではなく、実際に本体サイズは235(W)×165(D)×29.5(H)mmだが、重さは1.27kgある。同クラスのミニノートに比べるとサイズは同じくらいでも、若干重量がある。

インタフェース類はすべて背面にまとめられている。左から、モデム、USB2.0×2、LAN、アナログRGB、TV出力、マイク、イヤホン、およびExpress Cardスロットが並んでいる。ちなみに側面には吸気口があるのみだ」

特徴的なのは、AC電源コネクタを除いたインタフェース類がすべて背面にまとめられていること。拡張端子はUSB2.0が2ポート、PCI-Expressカードスロットが1スロットのみで、メモリーカードスロットなどは搭載していない。本機は通信モジュールを内蔵していることもあり、PCI-Expressカードスロットが常時埋まるということはほとんどないだろうから、メモリカードスロットが非搭載でも、それほど不自由を感じることはないはずだ。

KDDIの通信モジュールを内蔵

CDMA 1X WIN対応通信モジュールを内蔵した最上位モデルのみ、KDDI Module Insideのロゴが貼られている

FlyBook V5 Seriesには3モデルあるが、基本スペックはすべて同じ。異なるのは、ワイヤレスWAN機能の内容だ。今回試用したV5-A7M00は、KDDIのCDMA 1X WIN対応通信モジュールを内蔵した最上位モデルにあたり、受信最大2.4Mbps、送信最大144kbpsのパケット通信が可能だ。これまで通りHSDPA対応のワイヤレスWAN通信対応モジュールを内蔵したモデル(V5-87M00)も用意されているが、なんといってもSIMカードをユーザーが装着しなくても通信できるのが楽だ。ちなみに内蔵するのは京セラ製のPCI Express Mini Card型通信モジュール「KCMP」となる。

親指オペレーションで快適操作を実現

ヒンジ周辺にクリックボタンやポインティングデバイスを配置した親指オペレーションを採用

ミニノートということで、やはり心配なのは入力デバイスの操作性だろう。FlyBook V5は本体の小ささを最大限に生かせるように、両手で持ったまま操作できる親指オペレーションを採用している。これは本体の左右2個所にクリックボタンを設けることで、どちらの親指でもクリックできるというものだ。

ポインティングデバイスが、右側のヒンジ部分(クリックボタンのすぐ隣)にあるのもポイントだ。両手に持ったときに、親指の位置にポインティングデバイスがくるため操作しやすい。すぐ横にはスクロールホイールがあり、親指を上下に動かすだけで画面をスクロールできるのは、Webブラウズ時などに便利だ。ただし、このような配置のためテーブルなどに置いて操作するときは、クリック操作も人差し指や中指を使うようになるので、慣れが必要だろう。

通常ポインティングデバイスがある場所には、指紋センサーを装備している

とはいえ、FlyBook V5はタッチパネルを採用しているおかげで、指で直接タップするという使い方もできる。タッチパネルは回転式で、180度回転すればタブレットPCにもなる。今回試用したモデルにはWindows Vista Businesがプリインストールされており、標準のタブレット機能を利用して、文字入力や右クリック操作なども快適に行えた。ちなみにWindows XP Professional版を選んだときは、文字入力やマウス操作のためのアプリケーションが別途付属している。

気になったのは、画面の解像度が1024×600ドットという点だ。5万円で購入できる「Eee PC」ならまだしも、25万円以上もするノートで、このサイズというのはかなりの制約だ。基本スペックがやや似ている「FMV-BIBLO LOOX P70YN」が1280×768ドットを実現しているのと比べると見劣りがする。

「Flybook Center」で通信に利用するデバイスを無線WAN、無線LAN、Bluetoothから選ぶ。ディスプレイの向きや音量、輝度などもまとめて調整できる

無線WANで接続するには、付属の「接続マネージャ」を利用する。ワイヤレスWANモジュールの電源オンは、FnキーとF9キーを同時に押すか、またはシステムトレイのアイコンをダブルクリックする

バッテリーは公称値が約4.3時間だが、今回のテストでは約2時間6分だった。大容量バッテリーなどは用意されていないので、長時間外出するなら予備のバッテリーやACアダプタを携行したほうがよいだろう。

本体下部にある1800mAH×6セルの標準バッテリー。大容量バッテリーなどのオプションは用意されていない

本体価格は高いが、無線WAN通信を行える環境がオールインワンで揃うのが本機の最大の魅力だ。ビジネスソフトを中心に利用する場合、スペックも十分高い。通話エリアの広い無線WAN環境が必要なら、購入候補に検討したい。

ベンチマーク

フルパワーモードにてFFBenchをローモードでループさせたバッテリ持続時間(9セルバッテリ使用) 2時間6分

スペック

CPU Core 2 Duo U7600
チップセット Intel PM945 Express
メモリ 2GB(最大2GB)
グラフィックスチップ チップセット内蔵
ディスプレイ 8.9型ワイドTFTカラー液晶(1,024×600ドット)
HDD 80GB HDD (ATA、4200rpm)
光学ドライブ なし
有線LAN 内蔵(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T)
無線LAN 内蔵(IEEE802.11a/b/g)
Bluetooth 内蔵
モデム 内蔵(56kbps)
Webカメラ 内蔵(130万画素
その他の主な機能 指紋センサー、CDMA 1X WIN対応KDDI通信モジュール
メディアカードスロット なし
拡張カードスロット ExpressCard/54スロット
インタフェース 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン)、USB2.0×2、ヘッドホン出力、マイク入力、TV出力
本体サイズ 235(W)×165(D)×29.5(H)mm
本体重量 約1.27kg(バッテリーパック装着時)
バッテリ駆動時間(公称) 約4.3時間(付属バッテリーパック時)
OS Windows Vista Business
FlyBookストア価格 27万8,000円