デルの「Inspiron 1520」

デルが昨年6月に発表した「Inspiron 1520」は、15.4型液晶を搭載する普及価格帯のノートPCだ。発売から9か月が経過した今も現行製品として販売され、キャンペーンなども相まってコストパフォーマンスの高い製品となっている。また、8色のカラーバリエーションやBTOメニューの豊富さから、初級コンシューマユースからハードユースまで幅広い層に受け入れられるモデルである。

機能重視のオーソドックスな外観

Inspiron 1520は最小構成価格が10万円強となる、コストパフォーマンスを売りとする15.4型ノートPC。その外観はシルバーと黒を用いたカラーリングで、プラスチック的な質感の製品となる。とくに液晶、キーボード周りは、シルバー一色で統一されており、こういった製品で生まれがちな安っぽさは抑えられている。

さらに、天板のカラーリングを、以下の8色から選択できるのも本製品の大きな特徴。普及価格帯のコンシューマ機として、個人の好みを外観に盛り込めるのは魅力だ。これは直販形態ならではの魅力だろう。

  • クール・ブラック
  • ピュア・ホワイト
  • インテリジェント・ブルー
  • クラシック・レッド
  • オリーブ・グリーン
  • シトラス・イエロー
  • カフェ・ブラウン
  • チェリー・ピンク

全体的には非常にオーソドックスな作りの製品だ。キーボードレイアウトは余裕があるほか、本体手前にはメディア操作ボタンを装備。インタフェースは左右側面と背面に配置され、背面にバッテリ、側面に冷却用の通風口を備える格好となる。

キーボード周りは一面シルバーに統一されている。青色LEDのインジケータも雰囲気は良い。キーボードはキーストロークが若干長めだが、打鍵感は良好だ。PageUp/Downキーなどが独立しているのは使いやすい

外観で主立った特徴といえば、インジケータ類はすべて青色LEDを使用している点だ。このLEDは、電源やバッテリなどの主要インジケータが本体の右寄りに配置されているのが独特だ。これにより側面方向からもインジケータを確認できるようになっており、一つのLEDで、ディスプレイの開閉に関わらず状態を把握しやすくしているのだ。ちょっとした工夫だが、使い勝手の向上にはつながっている。

本体右側面。光学ドライブ、SD/MS/xDカードスロット、IEEE1394、D-Sub15ピン、LAN、USB2.0×2を備える。電源インジケータなどは、右側面からもチェックできるよう工夫されている

本体左側面。ExpressCard/54スロット、ヘッドホン出力、マイク入力、無線LANスイッチを備える

本体背面。Sビデオ出力、USB2.0×2、バッテリ、モデム端子を備える。USBは右側面と背面に2基ずつを備えることになり、適度に散らされた配置といえる

本体前面にはメディア操作ボタンも備える

メディア操作に関しては、ExpressCard/54スロットに収納しておけるリモコンが標準添付されるのも特徴

豊富なBTOメニュー。特にディスプレイの自由度に注目

さて、性能面に目を向けると、本製品はわりとスペックも重視された製品であることが分かる。BTOによるカスタマイズ購入が可能ではあるが、例えばコストを抑えるための低価格シングルコアCPUやチップセット内蔵グラフィックスを選ぶことはできず、ある程度、パフォーマンスを持った構成となる。また、光学ドライブにはブルーレイドライブも用意されており、選択次第では、ハイスペックなPCへ昇華させることも可能だ。

製品の性格を決めるうえで、とくに重要なポジションを占めることになりそうなのが液晶ディスプレイである。WXGAからWSXGA+まで実に4種類の液晶ディスプレイから選択が可能なのだ。液晶ディスプレイはコストへのインパクトが大きい反面、ユーザーの手で取り替えることができないパーツであり、ニーズに合わせて慎重に選ぶ必要があるだろう。

今回のテスト機には1680×1050ドットの解像度を持つ、15.4型TrueLife液晶が搭載されていた。光沢を持った液晶パネルのわりには輝度は高くなく、ギラギラした感じもない。WSXGA+という広い解像度は魅力だし、15.4型なら、この解像度でも文字が極端に小さいということはない良好な使い勝手だ。予算が許すならば是非選択したいパーツである。

このほか、周辺機器類のBTOメニューが豊富なのもデルの特徴といえる。本製品では、エスケイネットのUSB接続地デジチューナーもメニューに用意されており、ブースターアンテナとのセットがお値打ち価格に設定されている。地デジチューナーというと極端な例に取られるかも知れないが、PC用の地デジチューナーは単体で入手することはできず、このようにOEM提供されたうえでPC製品と一緒に購入するしか方法がない。このメニューが用意されているのは非常に重要な意味を持っているのだ。また、地デジチューナー以外でも、必要となるものを、まとめて買えるというのは、とくに初心者にとって魅力的な購入ルートとなるだろう。

本製品は、とくに初心者に向けた製品という印象は受けないものの、そのコストパフォーマンスの良さから初心者にも十分お勧めできるし、ハードにPCを使う人にとってもハイスペックなPCを割安に入手できる魅力がある。多少デザインは無骨ではあるものの、機能的な作りにはなっており使い勝手は非常に良い。コンシューマユースに幅広く受け入れられる製品といえる。

決してモバイル用途に向いた製品ではないが、ACアダプタはケーブルを束ねやすい形状のものが付属

バッテリは6セルと9セルが用意される。テスト機には9セルバッテリが付属しており、前出の写真でも分かるとおり、背面が少しはみ出す格好となる

BTOメニューでは、さまざまな周辺機器も同時購入できる。エスケイネットの地デジチューナーユニット「MonsterTV HDU」もその一つで、ブースターアンテナとセットで購入することも可能だ

ベンチマーク

3DMark06(800×600ドット) CPU Score 1906
3DMark 1793
フルパワーモードにてFFBenchをローモードでループさせたバッテリ持続時間(9セルバッテリ使用) 1時間54分41秒

スペック(テスト機)

CPU Core 2 Duo T7500
チップセット Intel PM965
メモリ 2GB(最大4GB)
グラフィックスチップ NVIDIA GeForce 8400M GT(128MB)
ディスプレイ 15.4インチ TFT 光沢液晶ディスプレイ(1680×1050ドット)
HDD 160GB HDD (SATA、5400rpm)
光学ドライブ DVD±R/RWドライブ(DL対応)
有線LAN 内蔵(10BASE-T/100BASE-TX)
無線LAN オプションで選択可能
Bluetooth オプションで選択可能
モデム 内蔵
Webカメラ オプションで200万画素カメラが選択可能
その他の主な機能 とくになし
メディアカードスロット 内蔵(SD/MS/xD対応)
拡張カードスロット ExpressCard/54スロット
インタフェース 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン、Sビデオ出力)、USB2.0×4、ヘッドホン出力、マイク入力、IEEE1394(4ピン)
本体サイズ 358.7(W)×269(D)×37.3~45(H)mm
本体重量 約2.88kg
バッテリ駆動時間(公称) 2時間50分(標準バッテリ、GeForce 8400M GSの場合)
OS Windows Vista Home Premium
価格 14万1750円から