Thermaltakeは、小型コンプレッサーを搭載した冷却システムを開発、CeBITの自社ブースで一般への公開はしていなかったものの、その動作デモを見ることができた。自作はちょっと難しいため、同社はメーカー製の"水冷PC"のように、システムとして組み込むことを検討しているという。

Thermaltakeが試作した冷却システム。なんとなく冷蔵庫のような音が

一見すると普通の水冷システムのように思ってしまうかもしれないが、配管の内部を循環しているのは冷却水ではなく、冷蔵庫やエアコンで使われているような「冷媒」だ。一般の水冷システムでは、水はCPU/GPUからの熱をラジエータに伝搬するものでしかないが、このシステムでは冷媒は液体と気体の間で変化しており、気化熱によって熱源から積極的に熱を奪うのだ。

原理図。要は、気体になるときに熱を奪い、液体になるときに熱を放出するということ

原理は上の写真を見ると分かりやすいが、まず液体状態の冷媒がCPU部で気化、この時に気化熱を奪うのでCPUは冷却される。気体になった冷媒が次に向かうのはコンプレッサーで、ここで圧縮されて高温・高圧となる。そしてラジエータ部で冷却・液化されて、再びCPUに戻る。この原理はエアコンや冷蔵庫などと同じだが、小型のコンプレッサーを開発することで、PCへの内蔵を可能とした。

これがマイクロコンプレッサー。周りの配管がなんともメカメカしい

CPU部への配管は太さが異なる。液体用(IN)は細く、気体用(OUT)は太い

冷却性能についてだが、同社は「4GHzのオーバークロックで24時間動作が可能」という。ベンチマークを動かす一瞬だけならともかく、4GHzで安定して連続動作させられるというのはすばらしい。デモではさすがに4GHzでの動作はしていなかったものの、3.2GHzの定格動作・高負荷状態で、CPU温度は30℃前後で推移していた。

デモ機のCPU温度は30℃前後