文部科学省はこのほど、大学や大学院研究科などの設置認可後、当初の設置計画が履行されているかどうかを調査する、2007年度の「設置計画履行状況調査」の結果について公表した。学生の本人確認が不十分だったことが明らかとなったインターネット講義専門のサイバー大学に対しては、改善すべき「留意事項」に関して、同事項が付された大学や大学院36校のうち最多の15項目が付され、今後の運営に多くの課題を残すこととなった。

今回調査の対象となったのは、法科大学院を除く、延べ424の大学・大学院。サイバー大学に関しては、今月21日に同大学により記者会見が開かれ、開学前に文部科学省から指導された学生入学時の本人確認を、在校生の約3割に当たる180人に対して行っていなかったことが明らかとなっていた。

今回同省が行った計画履行状況調査においては、同大学に対して、「本人確認を未だに行っていない学生が多数おり、認可時の計画が未履行であるだけでなく、授業科目を履修した学生に対して単位を与えるとする大学設置基準の規定を満たしていない疑義がある」との留意事項が付され、本人確認の不徹底について、同省も大きな問題ととらえていることが明確となった。

また同大学に対するそのほかの留意事項としては、「計画では重要な位置付けである指導補助者について、業務を定めたガイドラインが整備されておらず、専門的な研修も行われていない」、「計画では毎回の授業に小テスト、レポート、書き込みのいずれかを課し、出席の判定にも使われるとされていたが、全ての科目には小テストなどが課されていない」などの事項が付され、多くの計画が履行されないままになっていることが指摘されている。

今回付された留意事項についてサイバー大学では、「厳粛かつ真摯に受け止め改善していきたい。本人確認については1月中に行い、確認できなかった学生に対しては2月から個別訪問を行っていく」としている。

文部科学省大学設置室は「大学設置基準を満たしていない疑いがある事項もあるが、サイバー大学側も真摯に対応するとしており、今後の対応を見守っていきたい」と話している。