さて冒頭に書いたように、かつて北京市内でバスに乗るには乗り口、降り口の関係なく殺到する人をかきわけて必死に乗り込む必要があった。しかも定期券を持っていない場合は混雑する車内で車掌から乗車券を買わねばならず、乗るのも苦労、切符を買うのも苦労、という状況が続いていた。

しかし交通カードが導入されてからは、カードの読み取り機が乗車口のみにあることから降車口からの乗車は完全に禁止された。当初はそれでも無理に乗ろうとする客がいたようだが、車掌や運転手による徹底した指導により、今ではバスの乗車は乗り口からとスムーズになっている。また交通カードの利用者増により車掌を廃止するバスも増えてきているそうだ。ちなみにバスの運賃は通常のバスはわずか1元均一。これを交通カードで支払うと6割引の0.4元、10円以下となる。この大幅な割引優待もあって交通カードの利用者も増えているのだ。

バスは北京市内を頻繁に走っている

バス車内のICカード読み取り機

なお交通カードが利用できるのは、現在は地下鉄とバス、そして一部のスーパーや映画館などとなっている。これも将来はタクシーやファーストフード店へと広がることも予定されているとのことだ。北京空港で交通カードを1枚買えば、あとは移動や軽食、喫茶などはそれ1枚でキャッシュレス利用できる。北京オリンピック開催時にはそのようになっているかもしれない。

普通のバスのほか、連接バスも走っている

バス停には系統番号別に全バス停と現在のバス停が表示されているので、バスに乗るのは実はそんなに難しくはない

長距離列車などのIC化はまだまだこれから

中国では国鉄による各都市間の電化や高速化などが進められており、北京近郊でも北京-天津間には日本の新幹線のライセンスを受けたCRH2型の高速列車が走行を開始している。中国の鉄道も指定席のオンライン化などが進み、どこの駅でも、どの区間の指定券を買えるようになるなど近代化が進んできている。しかし乗車券はまだまだ紙ベースのものが主体であり、バーコードなどが印刷されてはいるものの、自動改札などのシステムはまだこれから先の導入になるようだ。

日本の新幹線技術を取り入れ、北京-天津間を走るCRH2

国鉄の切符はバーコード入りの紙製

広州-深セン間などでICカード乗車券のテスト導入がはじめられているものの、全国規模に広げるにはまだまだ時間がかかるだろう。しかしPT/Expo Comm ChinaにはNFCのデモや関連企業の出展が多数あったことから、中国でも将来は日本のようにあらゆる乗り物の利用や買い物も携帯電話だけで済む、そんな時代がやってくるかもしれない。