フラッシュメモリ製品の最大手である米SanDiskはこのほど、1億7,000万ドルを投資して建設した上海新工場で、フラッシュメモリを内蔵したチップの量産を開始したと発表した。

新工場は、教育機関や研究機関、産業拠点が集積するサイエンスパーク「上海紫竹科学園区」の中に位置し、従業員約700人でスタートした。同工場で生産を開始したのは、System-in-a-Package(SiP)と呼ばれるフラッシュメモリを内蔵したチップで、実装スペースが限られる携帯電話などで使われる。3万4,000平方メートルの敷地をもつ同工場には選別工程と組立工程があり、生産能力は、同社のSiP製品に対するグローバルな市場のニーズの約3割を満たせるほどだという。

SanDiskのPresident兼COOのSanjay Mehrotra氏は、「上海は当社にとり、製品の供給先であるパートナーに密着でき、製品をいち早く市場に投入できるという戦略的意義をもつ。携帯電話のユーザーは現在、携帯電話で画像や音楽、映像を楽しむようになってきている。新工場はこうしたユーザーの要望に応えられるフラッシュメモリの供給を目指す」とコメントしている。

さらに、同社Executive vice presidentのRandhir Thakur氏は、「新工場は、携帯向けにSanDiskが開発した最も先進的なフラッシュメモリ製品を生産していく。4つ、あるいは8つのメモリチップを内蔵した大容量のmicroSD、SDHC、Memory Stick Micro (M2)などの生産を計画している。工場の所在地を上海紫竹科学園に選定した理由は、上海交通大学など一流の大学から豊富な人材を誘致することが可能になるからだ」と述べた。

業界関係者は、日本、韓国、台湾の主力メーカーが、中国市場進出の布石をおおむね打ち終えているため、SanDiskは今後、日増しに激しくなる中国市場での競争に本腰を入れざるを得なくなるのではないかと予測している。

一方中国は、携帯向けフラッシュメモリの国家規格を作ることで、SanDiskなど多国籍企業による市場独占状況を打破しようとしている。年末をめどに同規格の一部が示され、施行されるとの予測もある。だが、SanDiskのCFO、Judy Bruner氏は、新工場の稼動にあたり、「価格競争のなかで活性化された市場ニーズを満たすため、市場は新しい上昇期を迎えている。これは当社にとり絶好の時機」と楽観的な見方を示している。