まず現行法体系の問題点の議論を

ネット上の商店街や検索サイトなどが法規制の対象となることが予想される「プラットフォームに関する法体系」については、東日本電信電話(NTT東日本)や楽天、ジュピターテレコムなどが「技術革新・サービス創造や事業者の妨げとならないよう、規制は差し控えるべき」として慎重論を展開している。一方、KDDIが「必要な範囲でプラットフォーム機能に対して、オープン性を確保するための規律の必要性を検討することについて賛成」とするなど、賛成意見もみられた。

これらの意見に対し、内藤室長は「ネット上の自由については当然のこととの認識があり、中間取りまとめ案にあえて明記しなかったことが誤解を招いたかもしれない」と説明した。

パブリックコメントについての説明の後、主要関係事業者・団体からの第1回公開ヒアリングとして、日本経団連と新聞協会の代表者による、中間取りまとめ案に対する意見書の説明があった。

日本経団連は、同連合会内の情報通信委員会 通信・放送政策部会の前田忠昭部会長の名前で意見書を提出。産業第2本部情報グループ長の上田正尚氏が、意見書の趣旨について説明した。日本経団連は前述の通り、「コンテンツは原則自由であるべきであり、自主的な取り組みによる対応を基本とすべき」との立場。上田氏は「競争が激しい通信分野と寡占状態にある放送を一緒にした結果、通信分野に対する規制が強くなるのはおかしい。ネットを使うサービス事業に規制がかかっては魅力ある媒体ではなくなる」と疑問を提起した。

一方、日本新聞協会は北村正任会長の名前で意見書を提出し、同協会メディア開発委員長の山中保男氏が説明した。山中氏は「中間取りまとめ案では、現行の法体系のどこに問題があるか全く示されていない」と指摘。「新聞社が行っているインターネット上のニュースサイトも新聞と同じ。ネットを規制することで、新聞を含めたメディア全体に網がかかることを危惧している」と主張し、性急な法改正論議に対して異議を唱えた。

こうした意見に対し、研究会の座長を務める堀部政男・一橋大学名誉教授は「パブリックコメントや今回のヒアリングの結果を考慮して今後議論を進めていく」と述べた。

8月27日の午後6時から開かれる同研究会の第14回会合では、第2回の公開ヒアリングが行われる予定。今回パブリックコメントや公開ヒアリングで示された中間取りまとめ案に対する賛否両論の意見について、同研究会がどのように受け止め、議論の中に取り入れていくかが注目される。