ある程度撮影を経験すると、写真の"ボケ"が気になり始める人も多い。絞りを開けるとボケが強くなるが、これをコントロールしながら撮影するのも写真の醍醐味のひとつ。そういった人にオススメなのが明るい単焦点レンズだ。

単焦点レンズとは、その名のとおりズーム機構を持たず、焦点距離が固定のレンズのこと。一般的なズームレンズは、どんなに明るくても開放F値はF2.8止まりだが、構造のシンプルな単焦点レンズはF1.4などといった明るいレンズが比較的安価に入手できてしまう。ちなみに単焦点というと、本来は望遠やマクロレンズも含まれるが、ここでは28mmから85mm程度のレンズを指している。特に50mm F1.4は単焦点の定番ともいえるもので、一度試してみる価値があるだろう。

単焦点レンズは焦点距離が変えられないため、被写体を大きく写したい、広く写したいといった場合は、撮影者自信が動かなければならない。利便性という意味ではデメリットだが、逆にこれがさまざまな角度から被写体を見ることなり、ひいては撮影の腕を磨くことにも繋がる。

フィルムカメラでは、肉眼で見た印象に近い焦点距離50mmのものが標準レンズといわれていた。しかし撮像素子のサイズが小さなデジタル一眼レフでは、50mmではやや望遠気味に感じられてしまう。そのためレンズメーカーのシグマからは、APS-Cのデジタル一眼レフに装着した状態で50mm相当の画角になる「30mm F1.4 EX DC /HSM」を発売した。新時代の単焦点レンズとして、実に魅力的な一本だ。

単焦点レンズのメリットのひとつは、レンズがコンパクトなこと。スナップ撮影など、機動力が必要な撮影ではこれも味方になる。このコンパクトさをさらに推し進めたのが超薄型の「パンケーキレンズ」だ。これは"パンケーキのように薄い"という意味で、ペンタックスのデジタル専用レンズ「DA 40mm F2.8 Limited」などは全長15mmしかない。ボディに付けてもまるでボディキャップのようだ。ニコンにも「Ai Nikkor 45mm F2.8P」というパンケーキレンズが存在したが、マニュアルフォーカスだったことが災いしてか、早々に生産が終了してしまった。しかし中古市場にはそこそこ数があるようだ。

明るい単焦点レンズ、キヤノンの「EF 50mm F1.4 USM」

デジタル専用の単焦点レンズ、シグマ「30mm F1.4 EX DC /HSM」

パンケーキレンズの代表ともいえるペンタックス「DA 40mm F2.8 Limited」