測距点は高感度クロスとアシストの2段構え

AF(オートフォーカス)の測距点は、19点クロス+アシスト26点という新しい方式になった。従来機では45点測距だったためスペックダウンしたように感じるが、従来はF2.8の高精度クロスセンサーが7点だったのに対し、 Mark IIIは19点に増えている。従来機ほど細かくAFポイントを選ぶことはできないが、実質的にAF性能は上がっているとしていいだろう。

プロ用カメラを感じるのは、カスタム機能「C.Fn III-7」にある「AFマイクロアジャストメント」だ。これはレンズごとに合焦位置を微調整する機能。精度の高い現代のカメラ・レンズでも、個体によって微妙に前ピン・後ピンになることがある。従来そういった場合はプロサービスにオーダーして調整していたのだが、この機能があれば自分で調整できてしまう。銘柄ごとに調整データを記録するので、同じレンズを2本持っている場合は困ってしまうが、そういったユーザーはほとんどいないだろう。レンズは20本まで記録できる。

Mark IIIの測距点。任意に選択できるのは赤い部分(F2.8対応クロス測距)だが、実際には緑色のアシスト測距点も使われる

Mark IIIのセルフクリーニングセンサーユニット。前面の赤外吸収ガラスを超音波で振動させる

キヤノンのプロ機としては初のゴミ取り機構

液晶モニターは大きな3型。コンパクトデジカメの一部で3型モニターは採用されているが、手にすると非常に大きく感じる。しかし Mark IIIはボディが大きいこともあって、それほど大きくは見えない。もちろん再生画像やメニューは十分に見やすい。年配のカメラマンにはありがたいはずだ。実際に使用してみたところ、視野角は十分。直射日光の反射はあるが、それさえ遮ってやれば屋外でもこれで十分だろう。ただ、実画像よりも少し鮮やか目に表示されるようだ。少し差し引いて見たほうがいいだろう。また、この大型液晶モニターを使った「ライブビュー機能」も搭載した。これものちほど触れたい。

EOS-1Dシリーズとしては始めて撮像素子のセルフクリーニング機構が搭載された。これは同社の「EOS Kiss Digital X」やオリンパスと同じように超音波による振動を使ったもので、この方式は現在のところもっともゴミ取り効率が高いといわれている。また、シャッターユニットやボディキャップにゴミの発生を抑制する部材を使用したり、撮像面への帯電防止処理、添付ソフトにゴミ消し機能を搭載したりするなど、総合的なゴミ対策が施された。

今回は試していないが、無線LAN機能はとても便利そうだ。撮影した画像を指定サーバに転送するのはもちろんだが、リモートでのライブビューも可能だという。撮影前にパソコンでピント位置などが確認できるわけだから、新しい撮影スタイルも可能になるはず。オプションのワイヤレストランスミッター(WFT-E2)は10万円と少々高いが、これが必須になるカメラマンも少なくないはずだ。

Mark IIIのマグネシウム合金ボディ

同じく背面。下部まで一体で作られている

Mark IIIの主要防滴実施箇所。多少の雨ではびくともしない

同じく背面。匡体接続部だけでなく、ボタン類やファインダー部まで完全にシーリング

オプションのワイヤレストランスミッター「WFT-E2」を装着したところ