富士通は14日、ブレードサーバの新製品となる「PRIMERGY BX620 S4」の販売開始を発表した。デュアルコア インテルXeonプロセッサー5110(1.60GHz)×1、メモリ1GB、ディスクレスの構成で価格は43万円から。クアッドコア インテルXeonプロセッサーL5320(1.86GHz)×1、メモリ1GB、ディスクレスの構成での価格は57万6,000円から。出荷開始は6月上旬の予定。

富士通 パーソナルビジネス本部 本部長代理 増田実夫氏

製品説明を行なった同社のパーソナルビジネス本部 本部長代理の増田実夫氏は、ブレードサーバをハードウェア単体ではなく"ライフサイクルを通したトータルシステムを構築するIT基盤"として位置づけ直した「TRIOLE BladeServer」の発表から1年が経過したことを踏まえ、今回の発表を「TRIOLE BlaseServerの第二ステージ」だとした。

ハードウェア面では、ネットワーク性能の引き上げが目に付く。これは、サーバ統合に利用されることが多いというブレードサーバの特性に対応したものだ。現行のBX620 S3サーバブレードがネットワーク・ポートを最大6ポート装備可能なのに対し、BX620 S4では最大10ポートに増強。さらに、サーバブレードと内蔵スイッチを接続するブレード・シャシーのミッドプレーン帯域をBX600 S2の120Gbpsから520Gbps(BX600 S3)へと約4.3倍に拡張し、次世代の10Gbps LANへも余裕を持って対応可能にしたとしている。プロセッサは低電圧版クアッドコア・プロセッサにも対応し、Xeon L5320(1.86GHz)を最大2個搭載可能。

同時に、シャシーに内蔵するスイッチブレードの強化も行なわれ、BX600スイッチブレード(1Gbps)では従来製品比約3倍となる1Gbps×12ポート(外部LAN側)/1Gbps×30ポート(サーバブレード側)となったほか、BX600スイッチブレードでは富士通研究所が開発した10ギガスイッチLSIを搭載し、消費電力を1ギガビットスイッチと同程度に維持しつつ、サーバブレード(10ポート)から外部LAN(2ポート)まで全経路を10Gbpsで接続できるようになった。

BX620 S4

BX600 S3

また、Emulexとの共同開発によるSANの仮想化機能が標準で組み込まれる。これは、サーバ側のSANインタフェースのWWN(World Wide Name)を仮想化し、サーバ・ブレードの入れ替えがあった場合でもSANストレージ側の設定変更が必要なくなるというもの。ただし、仮想化機能を利用できるのは別途「SAN接続仮想化オプション」を購入したユーザーのみ。このオプションでは、富士通のベンダーIDを含む仮想化用WWNが提供されることになるという。SAN接続仮想化オプションの価格や提供形態については現時点では未定。

増田氏は質問に答える形で富士通のブレードサーバの実績と今後の目標についても明らかにした。それによると、「2006年度のシェアは一桁代」だったが、2007年はシェア15%、販売数では2006年実績の約2倍となる6,000台を目標とするという。

このほか、ブレードサーバの仮想化を支援するソフトウェアとして、「Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2」も同時に発表された。本製品は事実上ブレードサーバ専用版と位置づけられ、サーバ運用操作の簡易化、サーバ追加や交換にともなうストレージ設定の容易化/自動化、サーバ故障にともなう業務の自動回復(可用性)、に対して強化が行なわれている。前述のSAN接続仮想化オプションは、このVirtual server Editionとの併用が前提となっている。

富士通 プラットフォーム技術開発本部 本部長の橋本光廣氏

仮想化サーバの管理機能は、VMware ESX Serverの管理機能と連携することで実現している。VMwareが管理する情報を読み出すことで、物理サーバの表示画面の中に仮想サーバの情報も一元的に表示するほか、仮想サーバに対する操作をVMwareへの指示に変換することで、仮想サーバの運用管理作業についてもSystemwalker内部から物理サーバと同様に行なうことが可能になっている。説明を行なったプラットフォーム技術開発本部 本部長の橋本光廣氏は、「XenやWindows Server "Longhorn"の仮想化機能が市場投入されれば、それらについても対応していく」とし、「仮想化技術でブレードサーバを強化」していく、という方針を明確に打ち出した。

Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2の価格は9万円からで、出荷開始は9月の予定。