サービスは哲学を持って作り、育てる

次に伊藤氏から「はてなブックマーク」を例に取り、はてなのサービスの開発・運営方法が紹介された。これはユーザーが一人で使うだけでなく、他のユーザーとのインタラクションが生まれることで価値が出るという、はてなの特徴が端的に現れているサービスだ。

はてなのサービスは、プロジェクトチームなどでなく、開発者自身が作るという点が独特だ。少人数で作る、短期間でリリースする、自分たちで作るなど、開発作業に対しても独自の考え方が貫かれている。

開発を外注せず自分たちで作ることで、気づいたところは細かく変えていける身軽さを持ち、それを継続していくことでユーザーからのフィードバックも増えるという。開発し続けていく姿勢から感じられるサービスの活きの良さのようなものが、ユーザーからの信頼につながるのだろう。伊藤氏は「サービスリリースまでは一気に走る短距離走、その後は継続する長距離レース」と例えた。

そして2001年に資本金300万円で「人力検索はてな」がスタートしたころから現在までの歴史を紹介し、これらの経験から得られたこととして、伊藤氏はWebサービスの運営について次のようにまとめた。

起業というとまずビジネスプランを求められるが、これはあとからついてくるもの。Yahoo!やGoogleの起業が好例で、たいていのことは後からどうにでもなる。始めてから「トライ&エラー」ができる環境・文化が大事で、細かく細かく改善して継続することでサービスが育つ。

哲学を持つこと、臆病にならず、継続する、共有する、トライ&エラーを行うことが重要だという。

はてなの歴史を社員からみたところ

はてなのサーバ。ここで「はてなダイアリー」が動いている。現在はさくらインターネットのハウジングを利用している