既報の通りIntelは29日(米国時間)、長らくうわさされていた"Haswell-E"(開発コード名)ことCore i7-5960Xがやっと登場した。早速だが簡単な性能評価と併せてレポートをお届けしたい。

今回発表されたHaswell-Eは、パッケージがLGA2011-v3という新しいものに変わり、DDR4メモリをサポートした製品となる(Photo01)。プロセスは22nmで、8core/16thread、さらに20MBものL3 Cache(Intelの用語でいえばLLC:Last Level Cache)も搭載する。

Photo01:ヒートスプレッダの形状も随分異なる

動作周波数は8コア製品が最大3.5GHz、6コア製品では最大3.7MHzとなっている(Photo02)。ちなみにコアそのものは既存のHaswellと変わらず、なので変更点はコア以外(GPUが省かれ、コアの数が倍増し、メモリチャネルも倍増)という形になる。

Photo02:Conflict-freeというのは、「DRC(コンゴ民主共和国及びその周辺国)が産出する鉱物を利用しない」の意味で、この地域の産出する鉱物が地域の武装集団の資金源になっていることに起因している

ハイエンドの製品がCore i7-5960Xで、DDR4-2133メモリを4ch搭載可能となっている(Photo03)。内部構造はこんな感じ(Photo04)で、8コアにMemory ControllerともろもろのUnCore部のみを搭載したシンプルな構成である。

Photo03:"デスクトップPC向け8core"は、AMD FXのコアの数え方に従えばあちらが先であるが、16Threadに関しては間違いなくIntelが初である

Photo04:前世代のIvy Bridge-Eも、これの基になったIvyBridge-EPがコアの数に応じて3種類のダイがあったように、Haswell-Eの基になるHaswell-EPも複数のダイがあり、そのうちのひとつがこれという形だろう

ただ、シンプルといってもダイサイズは17.6mm×20.2mmの355.5平方mm、トランジスタ数26億個だから、デスクトップ向けのHaswellの177平方mm、トランジスタ数14億個と比較するとほぼ倍増している。TDPが最大140Wとなるのもしかたない、と思わざるを得ない規模となっている。

Photo05が同時に発売される製品のSkewである。ローエンドのCore i7-5820Kでは製品価格が389ドルとかなり下げられており、考え方によっては随分お得……かもしれない。ハイエンドのCore i7-5960Xはいつも通りの999ドルとなっている。

Photo05:CPU性能よりもメモリ帯域が欲しいといったニーズには、Core i7-5820Kはお徳かもしれない

ちなみに性能としては、Core i7-4960X比で14~32%の性能改善がなされるとしており(Photo06)、特に4Kビデオのエンコードでは従来製品に比べて大幅に高速化されるとしている(Photo07)。

Photo06:このあたりの実際の数字はベンチマークで

Photo07:エンコードがHandbreak、というあたりがちょっと引っかかったので、今回は別の方法で確認してみた

プラットフォームが変わるということで、当然チップセットも新しくX99となった(Photo08)。とはいえ、基本的な構成はほとんど差がない。もう少しプラットフォーム周りでの差異を示したのがこちら(Photo09)で、チップセット側の違いとしてはSATAポート数とThunderbolt対応、それとBCKLベースのオーバークロック動作の有無というあたりになる。

Photo08:CPUとの接続は引き続きDMI 2.0のまま。DMI 3.0への対応は次世代となった

Photo09:ついに最大でPCI Expressは8レーン×5本の構成が可能に

パッケージは、従来は黒のものだったが、今回からは青ベースとなっている(Photo10)。CPUクーラーは(パッケージからも分かる通り)別売で、以前から販売されているTS13Xが利用される(Photo11)。

Photo10:一見同じに見えるが、"INTEL CORE i7"の上の文字が、Core i7-5820K/5930Kは"Desktop"、Core i7-5960Xは"Extreme Desktop"と微妙に違う

Photo11:たとえばヨドバシドットコムでは\10,880の値段で販売されている