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鉄道ニュース週報

80 秋田県の貨物線に旅客列車運行許可…ただし「乗船客」専用

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国土交通省は7月21日、JR貨物が保有する奥羽本線貨物支線土崎~秋田港間について、JR東日本に第二種鉄道事業を許可した。第二種鉄道事業とは、他社が保有する線路を使った輸送事業。つまり「JR貨物の線路に旅客列車を走らせていいよ」という許可が出た。

この許可を受けて、JR東日本秋田支社は7月21日、秋田港から秋田駅へ旅客列車を運行すると発表した。ただし、この旅客列車の運行目的は秋田港に寄港するクルーズ船の乗船客の列車輸送に限定されていて、列車だけの利用はできないらしい。鉄道ファンにとっては歯がゆい内容となった。クルーズ船の乗船客の出迎えや見送りにかこつけて乗りたくても、都合のいいダイヤではない。

クルーズ船客向け列車のルート。赤色が貨物支線。緑色が奥羽本線 (国土地理院地図を加工)

運行日は8月3~6日の4日間。これは秋田市で開催される「秋田竿燈まつり」と一致する。東北の三大祭りのひとつで、江戸時代に真夏の病魔や邪気を払うために行われた「ねぶり流し」が起源という。地元の人々にとって大切な文化行事というだけでなく、観光客にも人気で、国内外から観光客が訪れる。秋田港にもクルーズ船が寄港する。

しかし、秋田港から市内への道路渋滞、交通規制のため、クルーズ船の乗船客にとって秋田竿燈まつりの見物は不便だった。夜のまつりの前、日中に秋田市周辺を観光してもらいたくても、日程が整いにくかったという。そこで秋田県・秋田市からJR東日本に対して、奥羽本線の貨物支線で旅客列車を運行してほしいとの要請があった。

奥羽本線貨物支線の旅客列車運行計画

8月3日 朝1本(秋田港→秋田駅) 夜1本(秋田駅→秋田港)
8月4日 朝1本(秋田港→秋田駅) 夜1本(秋田駅→秋田港)
8月5日 昼1本(秋田港→秋田駅) 夜1本(秋田駅→秋田港)
8月6日 朝2本(秋田港→秋田駅) 夜2本(秋田駅→秋田港)

JR東日本秋田支社が発表した報道資料でも、乗客対象は「クルーズ乗船客」と明記されている。運行区間は秋田港から秋田駅までとなっていて、秋田~土崎間は奥羽本線、土崎~秋田港間は貨物支線を走る。使用車両は男鹿線で運行するキハ40・48系4両。ということは、側面に秋田名物なまはげがデザインされた車両を使うわけで、この選択もおもてなしのひとつといえるかもしれない。

秋田港駅は貨物駅のため、プラットホームがない。そこで着発1番線に乗降タラップを仮設するとのこと。仮設ホームではなく、簡易な設備になりそうだ。

鉄道ファンとしては、普段乗れない区間だけに、乗ってみたいところ。ただし、クルーズ船の乗船客が対象ということは、列車だけの乗車はできない。ならばクルーズ船の乗客になってしまえばいいかも。そこで、この4日間に寄港するクルーズ船を調べてみた。

8月3日は「ぱしふぃっくびいなす」。日本クルーズ客船が運航するクルーズ船だ。全長182.9m、26,594トン、旅客数は620名。「竿燈・ねぶた東北二大祭りクルーズ」と題して、8月1日に敦賀港を出航。小浜湾で船上から花火大会を鑑賞し、8月2日は石川県輪島を観光、8月3日に秋田港、8月4日に青森でねぶた祭を観覧し、8月6日に敦賀港に戻る。料金は2名1室1人あたり22万円から。

8月4日は「にっぽん丸」。商船三井客船が運航するクルーズ船だ。全長166.65m、22,472トン、旅客定員は524名。「東北夏祭りクルーズ」と題して、8月2日に横浜港を出航、太平洋沿岸を進んで津軽海峡を越え、8月4日に秋田へ。翌日は青森に2日間滞在し、8月7日に横浜へ帰港する。料金は2名1室1人あたり23.9万円から。

8月5日は「飛鳥 II」。郵船クルーズが運行するクルーズ船だ。全長241m、50,142トン、旅客定員は872名。「竿燈・ねぶた祭クルーズ」と題して、8月3日に横浜港を出航し、津軽海峡回りで8月5日に秋田県男鹿半島の船川港に寄港し秋田港へ。8月6~7日は青森港に滞在。8月9日に横浜港に戻る。料金は2名1室1人あたり36万円から。

8月6日は「ダイヤモンド・プリンセス」。イギリスの「ペニンシュラ アンド オリエンタル スチーム ナビゲーション カンパニー(P&O)」が運行するクルーズ船だ。長崎で建造された船で、全長290m、115,875トン、旅客定員は2,706人。4日間で訪れる船としては最大級。こちらは国際クルーズ「竿燈・ねぶたに沸く秋田・青森と長崎・韓国 9日間」と題して、8月4日に横浜港を出航、津軽海峡回りで8月6日に秋田港、翌日に青森港、その2日後の8月9日に韓国・釜山港、その翌日は長崎港に立ち寄り、九州南端、太平洋経由で8月12日に横浜港に戻る。料金は2名1室1人あたり19万円から。日程が多い割に安い料金がある理由は、内側室、つまり窓のない部屋だから。

普段乗れない貨物支線、土崎~秋田港駅の実キロは1.8km。営業キロは2.7km。これに乗るためにクルーズ旅を申し込むと、最も安い旅で19万円となった。さて、この値段、鉄道ファンとしては高いか安いか。船旅にも興味が出てきたなら、8泊9日、1泊あたり2万7,350円は安いと感じるかも!?

なお、河北新報7月22日版によると、JR東日本秋田支社は今後、クルーズ船の寄港に合わせて恒常的な列車運行を考えているという。今回の4日間で利用者が多ければ、ホームや信号設備の整備に着手するとのこと。2017年の秋田県のクルーズ船寄港は、秋田港・船川港・能代港合わせて27回で、過去最高となった。このうち秋田港は19回だ。

2019年4月22日にはクイーン・エリザベス号も初寄港する予定となっている。地元の人々のために船内見学ツアーが開催されるなら、その交通手段として列車が走るかな……と、淡い期待をしてみようか。

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