「sweet」4月号

梨花が「sweet」を卒業

長らく「sweet」でモデルとして活躍してきた梨花さんが、2014年4月号をもって同誌を卒業しました。誌面では卒業を記念して「梨花sweet卒業スペシャル」という20ページの特集も組まれていましたが、これまで37回にわたって梨花さんが飾った表紙が見開きで紹介されているページは圧巻です。

また、3月16日には都内で行われた同誌の15周年記念イベント「sweet collection 2014」に梨花さんも出演し、編集長から卒業証書を授与されたそうです。

梨花さん自身は、ブログでこの卒業について、「もともとJJCanCamなど赤文字モデルだった私は25歳の時に卒業し……、その後5年くらいは紆余曲折しながら、初めてsweetのカバーをやらせていただいたのが32歳のとき……」と綴っています。

実際、初めて梨花さんがカバーを飾ったのは、2005年の3月号のことで、1999年の創刊当時から誌面には登場はしていたものの、表紙モデルになるまでにはおよそ6年の年月があったことがうかがえます。1999年から2005年までの梨花さんというと、バラエティによく登場する、ぶっちゃけトークのできるタレント、というイメージでした。2003年に出版した「恋愛体質」という本でも、自身の波瀾万丈な恋愛エピソードを包み隠さずにさらけだしていました。

ところが、カバーを飾った翌年あたりから、それまで出ていたバラエティ番組などの出演が減り、モデル活動に力を入れるようになりました。

30歳で「第2ステージの卒業」

当時、テレビ番組で共演していたタレントの鈴木紗理奈さんも、今回の卒業を受けて「ロンハー辞める時もそうだけど、辞めること決めた時ってもっとすごい次があるんだよ!! 自分で切りひらいていく姿はかっこいい そばでみていてすごく刺激的」と自身のブログで梨花さんの新たな旅立ちを祝福していました。

今となっては、梨花さんがアラフォーのファッションアイコンのひとりであることは読者にとっては普通に受け止められていますし、テレビタレントをしている人がモデル活動にも精力的であるということも多々見うけられます。でも2000年代の初めころには、モデルからバラエティタレントに重心を移した人が、もう一度モデルの世界でカバーガールになるという前例はなかったのではないでしょうか。そこには、今までやってきたことをきっちり辞めて、次のステージに行くという強い意志があったのではないかと思います。

梨花さんは、今回の卒業を「第2ステージの卒業」であると言っています。赤文字雑誌のモデル時代が第1ステージで、「sweet」が第2ステージであると。梨花さんにとっての第2ステージは、「私はこうでありたい」という意思を生まれてからのステージであり、「第2のステージのスタートが30歳っていうのがあまりないことなのかな」とも「sweet」のインタビューで語っています。

赤文字雑誌から「sweet」、そして「オトナミューズ」へ

梨花さんが「JJ」や「CanCam」で活躍していた1990年前後の赤文字雑誌というのは、バブルがはじけたあとも数年間はバブル的な香りを醸し出していました。このころは、「CUTiE」は創刊されていたものの、女子大生で「CUTiE」的なファッションを取り入れる人はまだ少なく(美術系大学などならまた別だったかもしれませんが)、青文字雑誌というはっきりしたジャンルもありませんでした。女子大生が手に取れるものは赤文字雑誌か、「non-no」「MORE」「with」くらいしかなく、あまり深く考えずに、赤文字雑誌を読んでいた人も多かったでしょう。

梨花さんも、赤文字時代をふりかえり「あのときはモデルになりたてだから、がんばりだけでなんとかやってたので、やりたいことと好きなことが一致してたか、と言われるとちょっと疑問」と語っています。

梨花さんのほかにも、平子理沙さんなど、この世代のモデルたちは、20代では上の世代の価値観に迎合していたものの、30歳くらいで自分の好きな路線を見つけ出した人は多いのです。それは偶然ではなく、ファッションやライフスタイルの多様性が、その頃に生まれたり定着していったからではないかと思われるのです。「sweet」もその多様性のひとつです。

さて、梨花さんは、第2のステージを卒業して、「オトナミューズ」という雑誌のカバーモデルとして第3のステージに入ります。以前、この連載の「非実在なアラウンド40たち」というコラムの中で、「今のアラフォーが納得して『自分たちの雑誌だ!』と思えるものは少ない」と書きましたが、この雑誌は、今回の月刊化でターゲットをしっかりとアラフォーに据えたようです。「オトナミューズ」が、アラフォーにとって「自分の雑誌だ」と思える存在になることをアラフォー女性のひとりとして願っています。

<著者プロフィール>
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。