【連載】

エアライン最前線

3 ANAのソーシャル戦略、成功の秘密

 

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FacebookやTwitterをうまく活用し、ファン獲得に成功した全日本空輸(以下、ANA)。今回は海外から日本へのインバウンドに重きを置いた「IS JAPAN COOL? 」について紹介をする。

思わぬ形で拡散した「IS JAPAN COOL?」

全日本空輸 プロモーション室 マーケットコミュニケーション部 前田欣伸氏

787ともう1つ、Youtubeでの「IS JAPAN COOL?」は大きな反響を呼んだ。震災後の傷ついた日本人にも勇気を与えたことだろう。

「日本の習慣や観光スポットを英語で紹介し、『COOL(かっこいい)』かどうかを投票し、Facebookでシェアできるこのプロモーションは外国人向けのものでしたが、日本の方に日本再発見という思わぬ形で認知されました。フォロワー5万人のルース駐日アメリカ大使やイギリス政府観光局CEOら多くの方につぶやかれ、大きく拡散。今年2月2日の動画サイトオープンから3月末の2カ月足らずの間に、Youtube視聴が約19万7000PV、キャンペーンの応募数は約3万5000件を数えました。Yahoo(アメリカ、フィリピン、マレーシア)、Los Angeles Times、CNNのウェブサイトなど海外メディアでも数多くとり上げられ、国内外の多くの個人ブログでも紹介されました」(全日本空輸 プロモーション室 マーケットコミュニケーション部 前田欣伸氏)。

神社やお寺といった伝統的な分野から"原宿"やアニメーションといった現在の観光素材、さらに食文化と実にテーマが多彩である。「コンセプトを固める段階で外国人へのインタビューを行ったのですが、その中で、伝統文化とテクノロジーといった『対比』、あるいはそれが入り混じる混沌(新宿の高層ビル群と猥雑な歌舞伎町の同居)に外国人は魅力を感じているのではないかと考えました。結果、幅広いテーマを入れることになったわけです」(前田氏)。

"ANA色"を出さず広く参加可能に

「IS JAPAN COOL?」はANAのプロモーションなのに、それをほとんど感じさせないのも注目すべき点だ。

「まさに、そこが最も工夫し、苦心した点でもあります。ANAを通じて日本を知ってもらうのではなく、日本を通じてANAを知ってもらうという考え方。企業のプロモーションに見えないようにしつつ、ANAの認知度を高める工夫をするわけですが、企業色をどの程度薄めるかに苦心しました。社内の説得を含めて(笑)。『COOL』かどうかはユーザーが決める。さらに、『いいね! 』を押さなくても(ANAのFaceboookに参加しなくても)、日本に興味があれば誰でも参加できるようにしました」(前田氏)。

それだけオープンにすれば、ユーザーは企業のプロモーションとの意識はほとんどなくなり、それが成功した要因といえよう。それにしても、SNSを使ってこれだけ認知度を上げられると分かれば、今後も、活かさない手はない。

「当社では今年4月からANA SKY WEBを中心とする自社メディア、既存のマスメディア、そしてソーシャルメディアを同列に扱ってプロモーション活動を行う、プロモーション室マーケットコミュニケーション部を立ち上げました。これら3つのメディアの特性を活かした活動をしていくことになります」(全日本空輸 業務プロセス改革室 イノベーション推進部 サービスイノベーションチーム リーダー 高柳直明氏))。

ユーザーの声で生まれた機内サービス

今回のことは、企業がSNSを通じて行うプロモーション活動の成功事例となった。こうしたユーザーとの「つながり」が自社のサービスに活かされることもあるのだろうか。

「実際、すでにユーザーの皆様の声を反映したサービスが生まれています。機内食の有料販売『ANA My Choice』にクッキーを入れたのもそうですし、機内のオーディオプログラムにアメリカのマドンナの曲を入れたのもリクエストがあったからです」(前田氏)。

機内サービスに自分のリクエストが反映されるなんて、利用客にとっては非常に嬉しいkとだろう。また、それこそ双方向のコミュニケ―ションであるSNSの特性を活かした好例ともいえよう。

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インデックス

連載目次
第5回 デルタ航空が空港に巨額投資をする理由(後編)
第4回 デルタ航空が空港に巨額投資をする理由(前編)
第3回 ANAのソーシャル戦略、成功の秘密
第2回 ANAのソーシャル戦略
第1回 新生JALの機内食がスゴイ理由
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