ランコムはこのほど、スマホ・PCなどの画面から発生する「ブルーライト」が肌に及ぼす影響についての研究結果を発表した。
ブルーライトは、人間の目で捉えることができる波長の光「可視光線」の中で400nm~500nm(1ナノメートルは1メートルの10億分の1の長さ)の波長の青く見える光のこと。LEDを使用した電子機器だけでなく、最近ではスマートフォン・PC・テレビなどからも検出されている。
これまでの研究より、ブルーライトは目にさまざまな影響を及ぼすことが明らかになっている。今回の研究では、ブルーライトによる「肌の色素沈着」について実験を行った。色素沈着とは、刺激を受けたメラノサイトによって過剰に生産されたメラニンが生体内に蓄積することを意味する。
まず、被験者にブルーライトを一定時間照射。その後、皮膚科医が肌に起こった色素沈着を目視したところ、照射1時間以内に即時的な肌の変色を引き起こすことがわかった。また、その影響は一時的なものではなく、照射終了をしても3週間後まで色素沈着が残ることが判明。特に、高いエネルギーのブルーライトほど肌の変色も濃くなる傾向がみられた。
また、肌に色素沈着をもたらす要因に「紫外線」があるが、その影響は肌を黒くするだけではなく、シミ・そばかすやシワ・たるみといった「光老化」を引き起こすといわれている。
続いて同研究では、ブルーライト(415nm)とUVB(紫外線の種類)照射の比較実験を行った。ブルーライトには、真夏3時間分の太陽光に相当する1平方センチ当たり87.5ジュールの光を使用。その結果、ブルーライトによって、鮮明な色素沈着が起こりうることと、ブルーライトによる色素沈着は3カ月以上持続する可能性があることがわかった。
なお肌構造は、肌表面から奥に向かって「表皮」「真皮」「皮下組織」からなる。同実験では、UVBが表皮までのみ影響するのに対し、ブルーライトは真皮より奥の深部まで到達することも示した。
同研究結果を受け、あおいクリニック銀座の中野あおい院長は、「ブルーライトは表皮と真皮を透過して肌の深部に至り、紫外線よりも肌の奥深くまで達します。また、現代では生活の中になくてはならないものとなっているスマートフォンからは、非常に多くのブルーライトが発生しています」と指摘。
そして、「将来的な肌トラブルになるリスクを最小限に抑えるためには、紫外線対策だけではなくブルーライト対策も必要です」と語った。具体的な対策としては、ブルーライトを発生する電子機器の使用を最小限にすることや、ブルーライト対策のコスメアイテムを使用することを挙げている。