帝国データバンクは22日、「JR北海道グループの取引先実態調査」の結果を発表した。それによると、JR北海道グループを主要取引先とする国内企業875社のうち道内の企業が8割弱を占め、同グループの道内における存在感の高さを再確認する結果となった。

北海道旅客鉄道(JR北海道)は、車両火災、脱線事故、レール異常放置など管理面の不備が判明。不祥事の発覚後、9月、10月と2カ月連続で国土交通省による特別保安監査(立ち入り検査)を受けることとなった。

今回の調査では、帝国データバンクのデータベース・企業概要ファイル「COSMOS2」(144万社収録)の中から、JR北海道グループと直接取引があり、同グループを主要取引先とする国内企業を抽出し、都道府県別、業種別、年売上高別に調査・分析した。

それによると、JR北海道グループを主要取引先とする国内企業は全業種合計で875社。都道府県別では、北海道が77.5%(678社)でトップ、次が東京都の17.3%(151社)となり、合わせて94.8%を占めた。以下、大阪府の1.6%(14社)、神奈川県の0.9%(8社)、愛知県の0.6%(5社)と続いた。

JR北海道グループ都道府県別主要取引先

業種別に見た場合、産業用電気機器、食料飲料、一般機械器具などの「卸売業」が24.7%(216社)、土木工事、一般土木建築工事、一般電気工事などの「建設業」が21.9%(192社)、旅館・ホテル、ソフト受託開発、広告代理などの「サービス業」が20.5%(179社)と、構成比20%を上回った。また、生菓子、信号・保安装置、電力制御装置などの「製造業」が17.5%(153社)となり、これら4業種が全体の約8割を占めた。

年売上高別に見たところ、最も多かったのは「1億円以上10億円未満」の41.6%(364社)で、「1億円未満」の15.9%(139社、未詳52社を含む)を合わせると、中小規模の企業が過半数を占めた。一方、「1,000億円以上」は5.6%(49社)、「100億円以上1,000億円未満」は10.1%(88社)と、東京都内の大企業を中心に年商100億円以上の取引先も15.7%(153社)に上った。このほか、「10億円以上50億円未満」は22.1%(193社)、「50億円以上100億円未満」は4.8%(42社)となった。

帝国データバンクは今回の調査結果について、「(同グループの主要取引先は)本業の鉄道事業関連にとどまらず、ホテル・飲食、流通・商業施設、不動産・レジャーなど、経営多角化の一環で進出したさまざまな事業に関連する取引先も多い。地元の交通インフラを支える公的な側面が強い企業だけに、経営破綻という事態は考えづらいものの、今後の経営動向次第によっては、道内経済全体および個々の一般取引先に対し、少なからず影響が及ぶ可能性もある」と分析している。