ソニーは5月9日、2012年度連結業績(2012年4月1日~2013年3月31日)を発表した。4月に発表のあった事前の見通しの通り、2,301億円の営業利益と430億円の当期純利益を計上している。

内訳は、売上高と営業収入が68,009億円(2011年度64,932億円)、営業利益が2,301億円(同673億円の損失)、税引前利益が2,457億円(同832億円の損失)、最終利益である当期純利益が430億円(同4,567億円の損失)となっている。4月25日に発表された、売上高と営業収入の合計で68,000億円、営業利益が2,300億円、当期純利益が400億円との見通しに沿ったものとなった。

ソニーでは、営業損益が大きく改善した主な要因として、スマートフォンで大幅に販売台数を伸ばしているSony Mobile Communications ABが2012年2月に100%子会社として連結対象になったことを挙げている。これが、エレクトロニクス分野における主要製品の販売台数減少をカバーし、売上高を大きく押し上げた。また、金融、映画分野の好調や、米・ニューヨークのマジソン・アベニューにある米国本社ビル、ソニーシティ大崎など自社保有の資産売却に伴う2,000億円を超える利益が営業損益を大幅に改善したという。

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セグメント別の業績としては、前述の携帯電話事業を抱える「モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)」で売上高が6,227億円から12,576億円へと大幅に伸長。「映画」が478億円、「音楽」が372億円、「金融」が1,458億円と、コンテンツ事業および金融事業が好調さを見せている。

セグメント別の業績
セグメント 2011年度 2012年度 前年度比(為替変動込み)
イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S) 売上高 7,613億円 7,304億円 △4.1%
営業利益 186億円 14億円 △172億円
ゲーム 売上高 8,050億円 7,071億円 △12.2%
営業利益 293億円 17億円 △276億円
モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C) 売上高 6,227億円 12,576億円 +102.0%
営業利益 72億円 △972億円 △1,044億円
ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S) 売上高 12,832億円 9,948億円 △22.5%
営業利益 △2,032億円 △843億円 +1,189億円
デバイス 売上高 10,266億円 8,486億円 △17.3%
営業利益 △221億円 439億円 +660億円
映画 売上高 6,577億円 7,327億円 +11.4%
営業利益 341億円 478億円 +137億円
音楽 売上高 4,428億円 4,417億円 △0.2%
営業利益 369億円 372億円 +3億円
金融 売上高 8,719億円 10,077億円 +15.6%
営業利益 1,314億円億円 1,458億円 +144億円
その他 売上高 5,303億円 5,888億円 +11.0%
営業利益 △541億円 910億円 +1,451億円

エレクトロニクス5分野における営業損益は2011年度が1,072億円の損失、2012年度が1,344億円の損失となっており、わずかながら2012年度は改善。その増減要因としては、「為替」が△185億円、「価格下落/需要減」が△1,563億円、「コストダウン/合理化」が+1,675億円、「その他」が+431億円という(△は減少要因)。

2013年度の業績見通し(連結ベース)は、2012年度のような資産処分に伴う売却益計上は予定されていないものの、エレクトロニクス事業での収益体質が改善されてきていることから、売上高については増加が、営業利益については2012年度並みが見込まれるという。

2012年度 2013年度見通し 前年度比
売上高及び営業収入 68,009億円 75,000億円 +10.3%
営業損益 2,301億円 2,300億円 +0%
税引前利益 2,457億円 2,100億円 △14.5%
当期純損益 430億円 500億円 +16.2%