米MicrosoftがOS戦略を変更し、今後は1年単位で主力OSであるWindowsのアップデートを繰り返していく計画だという。年単位あるいは年数回の頻度でOSを更新しているAppleやGoogleといったライバルに倣うのが狙いで、こうしたMicrosoftの最初のOSアップデートは2013年にも行われる見込みだという。米Bloombergが関係者の話として12月1日(現地時間)に報じている

これまでのWindowsは、膨大な開発期間を要したVistaを除けばほぼ2~3年の周期で更新が行われており、企業や一般ユーザーはこれを目安にシステムの更新や新製品の購入タイミングを見計らってきた。一方でAppleやGoogleは互換性維持の問題を抱えながらも、最新技術を貪欲に取り込む形で両社モバイルOSの年単位のアップデートを繰り返してきており、最近ではAppleのMac向けOSである「OS X」でさえ年単位の更新サイクルになっている。Microsoftが意図するところは不明だが、こうした進化スピードの速さについてライバルらに倣うのが目的の1つだと考えられる。

同件は、The Vergeが先週報じた話題がきっかけだが、もともとはZDNetが「2013年半ばにMicrosoftがWindowsのUI変更やOSの価格戦略見直しを行う」と報じていたもので、The Vergeによれば、Microsoftは「Blue」のコードネームでWindowsならびにWindows Phoneのアップデート頻度をより高くする計画を進めており、超大なOSアップデートを2~3年周期で行うよりも、年単位でより安価なOSアップデートを繰り返す手法を模索しているという。

「Blue」は次期OSアップデートとして提供され、この中にアップデートでOSシステムを更新する仕組みが組み込まれる。これにより、ユーザーは年単位で安価に提供されるOSアップデートを自身の判断で取り込み、適時最新OSへとアップデート可能になるようだ。なお、同誌が関係者の話として伝えるところによれば、Microsoftは当面「Windows 8」の名称を維持するつもりだという。

興味深いのは、MicrosoftがUIの更新を計画しているという話があること、そして年次サイクルで安価にOSアップデートを行っていくという点だ。もしこれらが事実だとすれば、まずMicrosoftが現状のWindows 8のUIにはまだ問題点があり、ブラッシュアップを現在も構想しているということになる。

また現在、一般ユーザー向けのOS販売はPCメーカー経由のOEM販売が中心となっており、昨今のPC販売不調のニュースにもあるように、中長期的には収益面でMicrosoftの屋台骨を脅かしかねないリスクとなりつつある。

OSサブスクリプションという話もあるが、OSアップデートを安価に定期的に提供することでユーザーに新OSや新システムへの移行を促し、こうした悪循環を断ち切ると考えるのは自然な考えだろう。実際、OSバージョンアップを契機にデバイスの性能不足やサポート終了を実感し、iOSやAndroidでは本体買い換えの動機の1つになっており、PC業界にも同じ波を呼び寄せようという意図が感じられる。