シーケンシャルリード「1000MB/秒」超え! SSD RAID 0の威力は絶大

以上で、Samsung SSD 840 EVO(120GB)×2台を利用したRAID 0環境の構築は完了だ。基本的に画面の指示に従うだけであり、初めてRAIDを構築するという人でも特に戸惑うようなことはないだろう。

今回構築したRAID 0は、ディスクの数が増えれば増えるほど性能が向上することが特徴だ。SSDが普及する前は、HDDでRAID 0を構築するのが一般的であったが、1台でも高速なSSDでRAID 0を構築することで、パフォーマンスがどれだけ向上するのか興味があるところだ。そこで、今回構築したSSD RAID 0のパフォーマンスはどれくらいか、CrystalDiskMark 3.0.3bを利用して計測してみた。結果は下に示した通り。

シーケンシャルリードは1013MB/秒、シーケンシャルライトは930.4MB/秒、512KBランダムリードは731.5MB/秒、512KBランダムライトは862.4MB/秒となった。最初に挙げた、Samsung SSD 840 EVO(120GB)×1台の結果と比較すると、シーケンシャルリード速度は約1.92倍に、シーケンシャルライト速度は約1.82倍に向上している。ちなみに、一般的な3.5インチHDDのシーケンシャルリード速度は高速なものでも200MB/秒程度なので、Samsung SSD 840 EVO(120GB)×2台のRAID 0で1000MB/秒超えというのは、その5倍以上にもなる。

CrystalDiskMarkの結果

Samsung SSD 840 EVO(120GB)×1台

Samsung SSD 840 EVO(120GB)×2台のRAID 0

RAID 0はその原理上、ランダムアクセス性能はそれほど大きくは向上しないとされているが、SSDはHDDのようにヘッドを動かす必要がなくシークが高速なため、ランダムアクセス性能も向上しやすい。今回のテスト結果でも、RAID 0の構築によって、512KBランダムリード速度は約1.58倍に、512KBランダムライト速度は約4.32倍にも向上している。

SSD 1台でも十分速いが、RAID 0を構築することによる差は体感でもはっきりと分かり、これまで体験したことがない、新次元の快適さであった。

参考のために、SSD RAID 0環境でもWindowsエクスペリエンスインデックスを計測したところ、プロセッサ「8.2」、メモリ「8.2」、グラフィックス「7.3」、ゲームグラフィックス「7.3」、プライマリハードディスク「8.5」となった。SSD 1台でのプライマリハードディスクのスコアは8.1だったので、「0.4」も向上したことになる。

それほどコストと手間をかけずに快適な環境を得られるSSD RAID 0

今回は、まだRAIDを構築した経験のない人向けに、Samsung SSD 840 EVO(120GB)×2台でRAID 0を構築する方法について解説した。マザーボードによってBIOS(UEFI)設定画面は多少異なるものの、基本的な手順は変わらない。文章で説明するとやや面倒に見えたかもしれないが、基本的に画面の指示に従うだけなので、初めてRAIDを組む人でも心配はいらない。

CrystalDiskMarkの結果からも、SSD RAID 0の高いパフォーマンスが分かるだろうが、実際にWindows 8.1上でさまざまなアプリケーションを利用してみたところ、その速さはまさに驚異的。いったんこの快適さに慣れてしまうと、もう元の環境には戻れないと感じた。

ここ2~3年以内に発売されたマザーボードなら、ほとんどの製品がチップセット標準機能としてRAIDをサポートしているため、RAIDカードなどを購入する必要はない。SSDを2台用意するだけで、新次元の快適さが得られるのはとても魅力的だ。今回使ったSamsung SSD 840 EVO 120GBの実売価格は9,000円前後であり(2014年4月時点)、2台購入しても20,000円でお釣りがくる。コストパフォーマンスは非常に高いといえるだろう。

データサイズの大きなMORPGなどの起動時間も短縮され、ゲームもより快適にプレイできるようになるので、PCゲーマーにもおすすめだ。現在、システムディスクとしてHDDを使っている人はもちろん、SSDを1台構成で使っている人でも、さらに上のスピードと快適さを目指して、SSD RAID 0にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

なお、次ページでRAID 0環境のバックアップに触れているので、合わせて一読いただきたい。Windows 8.1の標準機能を使って、RAID 0ボリュームのイメージバックアップが可能だ。万が一のトラブル時でも、イメージバックアップしたときの状態へとシステムをリストアできる。