フォトグラファー 魚住誠一 (うおずみせいいち)氏
1963年愛知県生まれ。スタジオアシスタントを経て94年に独立。一般誌、女性誌、音楽誌、カメラ専門誌など幅広く活動中。自身主催の合同写真展「ポートレート専科」が7月30日より渋谷ギャラリールデコで開催される。詳細はオフィシャルホームページにて

SSDの最大のメリットといえば、その優れた読み込み性能を生かしてOSや各種プログラムの起動を高速化できることだ。高いパフォーマンスを必要とするゲーミングPCに組み込んで快適にプレイしたり、古いマシンのHDDをSSDに換装して動作を蘇生させたりといった用途がおもに考えられる。こうした活用方法でSSDの恩恵にあずかっているユーザーも多いことだろう。ところが、まったく別の側面でSSDを活用している業態があるという。プロのカメラマンである。自身もSSDが手放せないと断言するプロのカメラマン、魚住誠一氏にお話しをうかがった。

「SSDをなんでもっと早く導入しなかったのか後悔しているくらいです」

マイナビニュース(以下、MN):撮影現場でSSDが欠かせないとおっしゃっておりますが、どのように活用されているのでしょうか?

魚住誠一氏(以下、魚住氏):ズバリ、撮影画像のバックアップ用途です。我々プロのカメラマンは撮影現場で何百枚、何千枚もの写真を撮ります。予備のコンパクトフラッシュは複数枚所持していますが、空き容量は当然足らなくなるわけです。そこでパソコンにデータを移すことになるのですが、みてのとおり私のPCはMacBook Air。お世辞にも大容量ストレージを内蔵できるマシンではありません(笑)。結局、外付けストレージが必須となるわけです。


MN:バックアップ用途であれば、大容量なポータブルHDDのほうが有利なのではないですか?

魚住氏:普通はそう考えますよね。でもSSDでなければダメなのです。というのもSSDのほうが圧倒的に書き込み速度が速い! 先ほども申し上げたとおり、撮影途中にデータをバックアップしなければなりませんよね。HDDだと書き込み時間が何十分もかかってしまい、撮影時間を圧迫してしまうのです。その点、SSDならばすぐにデータを移行できるので時間をムダにしません。

SSDを導入する前はFireWire接続のポータブルHDDをバックアップ用に使っていたのですが、実をいうと書き込み速度については意識していませんでした。バックアップには時間がかかるものと、端から決めつけていたのです。それである日「バックアップしているので撮影は小休止中」とブログに書いたら、同じプロのカメラマンからあるコメントが付いたのです。「ポータブルSSDなら一瞬でコピー終わるよ」と……。それがきっかけとなりポータブルSSDを導入したところ、そのバックアップ時間の短さに驚きました。実際に比べたわけではありませんが、HDDと比べて体感的に半分以下でしょう。とても後悔しましたよ。なんでもっと早くから導入しなかったのだろう……と(笑)。

魚住氏がバックアップで活用しているSSD。Samsung SSD 840 PROに市販のUSB3.0アダプタを組み合わせてポータブル化している

魚住氏が体感した書き込み速度差を検証するため、マイナビニュースでテストを行った。内容は250枚のTIFF画像が入ったフォルダ(7.75GB)を外付けSSD/HDDにコピーする際にかかった時間を計測したもの。USB3.0接続のHDDに比べ、SSDは約1.5倍高速なのがわかる