4月から新生活を迎えて通勤や通学の方法が変わり、電車やバスの定期券を新たに購入したという人も多いのではないだろうか。今回は定期券も搭載できるSuica一体型のクレジットカードを紹介するので、この機会に交通機関で利用するICカードの見直しをしてほしい。

Suica一体型のクレジットカードは様々な種類が発行されているが、いずれもクレジット払いでSuicaにチャージでき、クレジット利用に対するポイントも貯まることが特徴。また、Suica残高が事前に設定した金額以下になると、首都圏・新潟・仙台のSuicaエリアとPASMOエリアの自動改札入場時(バス乗車時は除く)に設定金額がチャージされるオートチャージのサービスも利用できる。

Suica一体型のクレジットカードには、大きく分けて2種類がある。ひとつはビューカードが発行するクレジットカードで、もうひとつはビューカード以外のカード会社がJR東日本と提携して発行する(ii)マークが付いたクレジットカード。前者はクレジット利用に応じてビューサンクスポイントが貯まるが、SuicaへのチャージやJRの定期券、乗車券、特急券など「VIEWプラス」対象商品を購入した場合はポイント3倍。1.5%の高還元率となる。Suicaチャージや定期券購入などで貯まるポイントを重視するなら、ビューカード発行のものを選択したほうがいいだろう。

ただし、「VIEWプラス」対象の定期券は、JR東日本の窓口や対応券売機、モバイルSuicaで購入したもので、区間も発駅・着駅のいずれかがJRの駅になっているものに限られる。また、Suica・PASMOエリア以外でクレジットからチャージする場合は、対応端末を用意したうえでSuicaインターネットサービスを使うか、おサイフケータイでモバイルSuicaを使う必要がある。

■「ビュー・スイカ」カード

「ビュー・スイカ」カード

メインカードとして使うことを考えるなら、「ビュー・スイカ」カードが第一候補。年会費は515円で、1年間(4月から翌年3月)のクレジット利用額に応じてボーナスポイントがあり、30万円到達で100ポイント(250円相当)、70万円で400ポイント(1,000円相当)、100万円で600ポイント(1,500円相当)、150万円で1,000ポイント(2,500円相当)、最大で合計2,100ポイント(5,250円相当)となる。

なお、年会費無料のリボ払い専用カード「ビュー・スイカ」リボカード、年会費1万800円でゴールドカードのサービスを備えた「ビューゴールドプラスカード」(詳しくは第20回の記事参照)も発行されている。目的に応じて、これらも比較するといいだろう。

■ルミネカード

「ルミネカード」

続いては「ルミネカード」。ルミネ各店およびオンラインショップ「i LUMINE」でクレジット払いをした際は、いつでも5%オフになる特典が受けられる。さらに、年に数回10%オフになる期間もある。年会費は1,030円(初年度無料)。10%オフの期間にルミネで1万円強の買い物をするだけで元が取れることになる。

このほかにも、ルミネでの1年間(1月から12月)の利用額に応じてルミネ商品券のプレゼントもある。年20万円以上50万円未満利用の場合は1,000円分、50万円以上70万円未満なら2,000円分、70万円以上100万円未満なら3,000円分、100万円以上なら5,000円分。普段からルミネを利用している人であれば、確実に持っておきたい1枚だ。

■アトレビューSuicaカード

「アトレビューSuicaカード」

JRE POINTを貯めているなら「アトレビューSuicaカード」。クレジット機能、Suica機能に加えて、JRE POINTカードの機能も付帯した1枚3役のカードで、年会費は515円(初年度無料)。アトレ・アトレヴィでクレジット払いをすると、JRE POINTが通常のポイントカードの3倍となる。100円(税抜)につき3ポイント貯まり、さらにビューサンクスポイントも貯まる。

また、アトレ・アトレヴィで1年間(4月から翌年3月)に合計5万円以上クレジット利用をすると、ボーナスとしてJRE POINTが500ポイント(500円相当)もらえる特典もあるほか、店舗によっては会員限定の優待も受けられる。よく利用している店舗があるなら、優待の有無を確認してみよう。

定期券を搭載できるタイプは以上の5種類。ただし、定期券機能のないビューカードも、別途Suica定期券を購入するか、モバイルSuicaで定期券を購入すれば、ポイント3倍の恩恵は受けられる。その場合は実質年会費無料でビックポイントも貯まる「ビックカメラSuicaカード」、JALのマイルが貯められる「JALカードSuica」、水戸駅ビルのエクセルでの買物が5%オフになる「weビュー・スイカカード」、仙台駅ビルのエスパル仙台のポイントが貯められる「エスパルカード」なども候補に挙げたい。ちなみにビューカードには「Web明細ポイントサービス」があり、これに登録して明細書の郵送を止めると、毎月Web明細の発行があるたびに20ポイント(50円相当)が貯まる。毎月利用するなら、年会費は実質600円引きと考えていいだろう。

ひとつ気をつけたいのは、貯まったビューサンクスポイントの使い道。Suicaのチャージと交換することもできるが、その場合はJR東日本のエキナカを中心に設置されているATM「VIEW ALTTE」で受け取り手続きが必要になる(VIEW ALTTEは札幌駅・函館駅・ビックカメラ名古屋駅西店・ビックカメラ天神2号館にも設置)。モバイルSuicaなら全国どこにいても受け取り可能だが、どちらの方法も難しい人は、それ以外の商品から選ぶことになる。交換商品は豊富に用意されているが、商品券などはJR東日本エリアで使えるものが中心なので、あらかじめ目処を立てておこう。

なお、モバイルSuicaは通常年会費1,030円だが、ビューカード会員や(ii)マークがついたクレジットカード会員は当面無料(ちなみに当面無料はサービスが開始した2006年から継続中)。東北・山形・秋田・北海道・上越・北陸の各新幹線に割引料金で乗れる「モバイルSuica特急券」も購入でき、ビューカード会員なら東海道・山陽新幹線が割引料金となる「エクスプレス予約」(詳しくは第8回の記事参照) も利用できるので、対応のおサイフケータイを持っている人は、ぜひ一度試してみてほしい。

公式サイトは以下の通り。

ビューカード

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。